放送文化基金賞

基金賞特集

第52回

【第52回放送文化基金賞】審査の概要・審査委員一覧

放送と配信が同じ土俵で競い合うようになって、3年目。第52回放送文化基金賞には、各部門あわせて317件と、例年を大きく上回る応募・推薦が寄せられました。

戦後80年の記憶を未来へどう手渡すかを見つめた作品、差別や偏見に正面から向き合った作品、そして深海という未知の世界を視聴者に届け、テレビの可能性そのものを感じさせた作品。4月から2か月間、専門委員会と審査委員会で交わされた徹底した討議を経て、受賞作と受賞者が決まりました。

放送には、まだできることがある。そう感じさせてくれた一年です。桐野夏生審査委員長による審査の概要と、審査委員・専門委員(部門別選考委員)の一覧をあわせてお届けします。

審査の概要

放送文化基金賞 審査委員長 桐野夏生

第52回の放送文化基金賞には各部門合わせて317件の応募、推薦がありました。審査は、4月から5月に開かれた各部門での専門委員会で徹底した討議が行われ、その結果を受けた審査委員会で、ドキュメンタリー、ドラマ、エンターテインメント、ラジオの4つの部門で、それぞれ最優秀賞、優秀賞、奨励賞に16の作品と演技賞や企画・制作賞など個人に7件、さらに放送文化と放送技術の部門で8件が決まりました。また、特別賞1件が決まりました。

ドキュメンタリー部門の最優秀賞『NHKスペシャル ドキュメント 医療限界社会 追いつめられた病院で』は、これまで当たり前だった質のよい医療が今、崩壊しようとしている現状を映しだし、日本社会が直面する深刻な問題を私たちに突きつけました。

戦後80年を迎えた節目の年であり、また世界では大規模な戦争や紛争が進行している中、戦争に関連する作品が多く応募され、各部門でも高い評価を集めました。

ドキュメンタリー部門の奨励賞『NHKBSスペシャル 戦後80年 僕の日本人助産師を探して』は日中関係が悪化している現在、国を越えた人間同士のつながりに希望を感じました。また、ドラマ部門の『戦後80年ドラマ 八月の声を運ぶ男』は、戦争体験者が少なくなるなか、過去の戦争の記憶や証言を次世代へつなげていくことの大切さを改めて感じさせる作品でした。

差別や偏見に真正面から取り組んだ作品の応募も数多くありました。エンターテインメント部門の最優秀賞『ハートフルワールド 京都・紙屋川砂防ダム編』は、被差別部落と、そこからも排除された在日コリアンを中心とする集落を取材し、重いテーマをエンターテインメントとして見せました。また、ラジオ部門の最優秀賞『特集番組 沖縄戦後80年 父はアメリカ兵だった』は、沖縄の「ミックスルーツ」の差別の現状を検証した優れた番組と高い評価を得ました。放送文化部門でも10年にわたりアイヌ差別問題を粘り強く取材した「アイヌ差別取材班」が選ばれました。

ドラマ部門の最優秀賞には、生きづらさを感じる現代人に安らぎを与えてくれた『夜ドラ ひらやすみ』が選ばれました。岡山天音さんと、森七菜さんの演技が高く評価され、また、テレビ離れが指摘される今日において、1話15分の連続ドラマ“夜ドラ”として、テレビの視聴習慣をもう一度定着させたことも評価されました。

放送文化部門でNHK「ディープオーシャン」シリーズ制作チーム、放送技術部門では世界初「シーラカンス8K撮影」および潜水艇撮影システムの開発が選ばれ、深海という未知の世界を視聴者に届け、テレビの可能性、素晴らしさを認識させてくれました。

今日の日本社会、さらには世界が直面する課題を映しだし、取材を重ねてきた受賞者の皆様に敬意を表するとともに、この賞がこれから未来に向かう制作者たちの励みになることを祈念しております。

審査委員会委員

【委員長】
桐野夏生(作家)
【委員】
河合祥一郎(翻訳家)
小島ゆかり(歌人)
西野輝彦(日本民間放送連盟特別主幹)
丹羽美之(東京大学大学院教授)
本間康文(元TBSテレビメディア戦略室担当局長)
山名啓雄(日本放送協会副会長)
山根基世(アナウンサー)

専門委員(部門別選考委員)

ドキュメンタリー部門

【委員長】
桐野夏生(作家)
【委員】
井上佳子(ノンフィクション作家)
大島 新(ドキュメンタリー監督 / 東京工芸大学教授)
金川雄策(DDDD Film School代表)
澤 康臣(ジャーナリスト / 早稲田大学教授)
林 典子(フォトジャーナリスト)

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ドラマ部門

【委員長】
河合祥一郎(翻訳家)
【委員】
岩根彰子(フリーライター)
マーサ・ナカムラ(詩人)
長谷川朋子(ジャーナリスト/コラムニスト)
毛利嘉孝(東京藝術大学大学院教授)
若泉久朗(KADOKAWA執行役員)

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エンターテインメント部門

【委員長】
丹羽美之(東京大学大学院教授)
【委員】
稲田豊史(ライター / 編集者)
澤本嘉光(CMプランナー / エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター)
土屋敏男(Gontents合同会社代表 / みんなのテレビの記憶合同会社代表)
豊﨑由美(フリーライター / 書評家)
桧山珠美(フリーライター)

▶エンターテインメント部門 各委員による選考記へ

ラジオ部門

【委員長】
小島ゆかり(歌人)
【委員】
石井 玄(ラジオプロデューサー)
齊藤潤一(関西大学教授)
須藤 晃(音楽プロデューサー / 作家)
武内陶子(アナウンサー)
玉田玉山(講談師)

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放送文化部門

【委員長】
山根基世(アナウンサー)
【委員】
井上由美子(脚本家)
音 好宏(上智大学教授)
澤田隆三(大阪芸術大学教授)
鈴木嘉一(放送評論家 / ジャーナリスト)
村上圭子(メディア研究者)

放送文化部門・推薦委員

浅野加寿子(放送評論家 / プロデューサー)
日笠昭彦(LLC創造ノ森 代表・プロデューサー)
脇田泰子(椙山女学園大学教授)
和田省一(朝日放送テレビ名誉エグゼクティブ)

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放送技術部門

【委員長】
本間康文(元TBSテレビメディア戦略室担当局長)
【委員】
相澤清晴(東京大学名誉教授)
岩崎裕江(東京農工大学教授)
岡野直樹(一般社団法人電波産業会常務理事)
春口 篤(元NHK技術局長)

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