第52回

ドキュメンタリー部門

最優秀賞

受賞者

NHK

作品名

NHKスペシャル ドキュメント 医療限界社会 追いつめられた病院で

あらすじ

取材の始まりは、“医療の質の低下”を訴える切実な声だった。舞台は島根県にある、地域で唯一の二次救急を担う総合病院。「患者を診ない医師もいれば、薬の処方を間違える医師もいます・・・」。カメラが記録したのは、医療の安心・安全という守るべき一線が脅かされるという、危機的な事態だった。背景にあるのは長年指摘されながら解決されなかった「医師の偏在」だ。積もり積もった歪みがいま、さまざまな形で患者を直撃。これまで当たり前だった医療が維持できなくなる「医療限界社会」の到来を告げる。番組では国のリーダーシップが十分とは言えない中、厳しい選択を迫られ始めた日本の医療の等身大の姿を映し出していく。

選考理由

恥も外聞もなくありていに、とはこのことだろうか。重なる医療ミス、長時間労働、質の低下、圧倒的医師不足、減らない巨額の赤字。実名を出して、この事実を語るのは、さぞや勇気の要ったことだろう。しかし、医療が限界まできている、という紛れもない実態を知らしめるには必要なことだった。
全国の病院の7割が赤字に陥っている現実。これまで当たり前だった医療を維持することが、難しくなっている。今こそ、医師の偏在、効率重視の医療等々、医療の「限界」を考えるところにきている。深く内部に切り込んだ取材に、大きな反響が寄せられたという。

受賞のことば

「日々のニュースでは見えない、地域医療のリアルを知ってほしいんです。」
今回の取材は、地域医療の立て直しに孤軍奮闘する若き医師からの訴えから始まりました。深刻な医師不足や病院の経営赤字にさいなまれ、どんな医師であっても頼らざるを得ない現実。もはや、現場の努力だけでは改善できないことを知ってほしいと、カメラの前で「リアルな姿」をさらけ出してくれました。こうした医療現場の人たちの熱い思いが、今回の受賞に繋がったのだと感じています。医療の抜本的な改革は容易ではありませんが、今後も引き続き現場の声を取材し、私たちが安心して医療を受けられるためにはどうすればいいか、伝え続けていきたいと思います。
高橋裕太

スタッフ

語り 桑子真帆
撮影 岸本和久(SMC)、平澤輝龍
音声 森山芳晴、山田伸雄(松研)
映像技術 寺崎智人
映像デザイン 橋本麻江
CG制作 大島貴明(イメージユナイテッド)
映像データ分析 紅林隼(ヴィヴィドワークス)
編集 高橋均(エディット・ヒトシ)
音響効果 栃木康幸
取材 絹田峻、井上紗綾
ディレクター 高橋裕太、福井瑛子
プロデューサー 佐藤祐介、藤原淳登、小暮大祐
制作統括 植松由登、稲垣雄也

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