HBF 公益財団法人 放送文化基金

文字サイズ:

HOME読む・楽しむもっと 制作者フォーラムinふくおか 2014

読む・楽しむ もっと制作者フォーラム
各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2015年2月1日

もっと  制作者フォーラムinふくおか

レポート+寄稿

 2014年11月22日(土)、NHK福岡放送局よかビジョンホールにて、九州放送映像祭実行委員会と放送文化基金が主催する「九州放送映像祭&制作者フォーラム」が開催されました。
 このフォーラムには、九州・沖縄の全民放とNHK、計35局が協力、制作者を中心に約70名が参加しました。
 初めに行われたミニ番組コンテストには、31作品が参加。審査員の、吉岡忍さん(ノンフィクション作家)、齊藤潤一さん(東海テレビ放送報道部長)、竹島勇さん(東京新聞記者)、トコさん(コラムニスト)が、上映された作品について意見を述べ、時には、制作者に具体的にアドバイスをしながら行われました。
 引き続き、「YOUは何しに日本へ?の作り方」~普通のテレビマンが作ったちょこっと人気番組~というテーマで、テレビ東京チーフプロデューサー 村上徹夫さんのトークセッションが行われました。村上さんは、「成功したものを真似したり、保険をかけるような仕事をしていくと、テレビは死ぬと思う。テレビがかっこよくなっていくには、汗を流すしかない。汗を流して他が撮れないものを撮っていくことが必要だと思う」と語りました。
 この後、表彰式と懇親会が行われ、意見交換をしたり、受賞の喜びを分かち合ったりなど、制作者同士で懇親を深めていました。この会だけでは時間が足りず、この後の2次会では、日付が変わった後も、系列やエリアを越えて語り合っていました。

 ミニ番組コンテストでグランプリを受賞した松井智祉さん(RKB毎日放送)、審査員の齊藤 潤一さん(東海テレビ放送報道部長)、実行委員の神戸 金史氏(RKB毎日放送 ドキュメンタリー担当部長)に、フォーラムの感想をお寄せいただきました。

グランプリ受賞
『家族や夫婦のあり方を教えてくれたお母さん』
松井 智祉 (RKB毎日放送「豆ごはん。」ディレクター)

 お母さんは、本当によく笑います。しかもその笑った顔や笑い声で周りに明かりを照らしてくれます。そんなお母さんと出会った事を自慢したくなるような存在です。ぜひ、皆さんにもお会いして頂きたい方です。当然、お母さんの家族の皆さん明るく常に笑顔です。そんな家族の素晴らしさ、中心にいるお母さんのエネルギーを番組を通してお届けできればと思い制作致しました。そしてラストの亡きご主人との対話のシーン。そこでは、私なりのメッセ―ジは込めたつもりですが、そこはご覧になられた方がどのように受けとめられるかに委ねたいと思っています。ですが、どなたにも共通して心を揺さぶられた感覚は残ったのではないでしょうか。これからも一つ一つの出会いを大切にし、喜び、魂を込めて番組づくりに取り組んでいきたいと思います。

ミニ番組コンテスト審査員
プレゼンも大切な番組コンテスト
齊藤 潤一 (東海テレビ放送報道部長)

 数々の番組コンテストのなかで、作品上映後、制作者が審査員を前に一言、感想を述べるのは珍しい。
 警察担当記者が事件取材の合間に見つけた石碑に興味を持ち、制作を始めたテレビ西日本の「知られざる悲劇~二日市保養所~」。入社2年目のディレクターが店から取材を拒否されたものの、朝・昼・晩とラーメンを食べ続け、取材を認めてもらった九州朝日放送の「100円ラーメン最後の日」。軽快なラップで地元の名所を紹介していたのは、実は番組ディレクターであった大分朝日放送の「お!」。「ドキュメント72時間」が大好きだった元NHKディレクターが南日本放送に転職して制作した「天文館ドキュメント24時間」。
 審査の対象は番組であると分かっていながら、血の滲むような努力や面白い制作秘話を聞くと、ついつい加点してしまう、実に不思議で魅力的なコンテスト。来年、出品を考えている制作者はプレゼン能力を高めてみてはいかがですか。

実行委員
フォーラムに参加して
神戸 金史 (RKB毎日放送 ドキュメンタリー担当部長)

 九州放送映像は今回で39回目。NHKや民放のドキュメンタリー制作者が夜通し番組論を戦わせてきました。そんな風土が九州にはあります。1996年からは放送文化基金の支援もいただき、回を重ねてきました。
 本当に作りたい番組ってどんなのでしょう? 心から楽しい番組だったり、胸を打つものだったり、掘り下げた意味のあるものだったり…。作り手一人一人さまざまでしょう。僕自身は、「自分だから生み出せた番組だろうな」って思っています。
 今回は31本が出品されました。よいものはみんな、作り手の熱意と技術で、取材相手そのものの持つ強さを最大限に表現していました。僕らは日ごろの番組でこんなのをもっと作りましょう。まな板の上に上がって「ほかにはない美味しさですよ!」と言いましょう。お客さんがまた食べに来てくれるような人気店にしたいですね。