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各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2018年12月25日

もっと  制作者フォーラム in こうち

レポート+寄稿

 2018年11月9日〔金〕、ザ グランパレス新阪急高知にて、中四国制作者フォーラム実行委員会と公益財団法人放送文化基金が主催する「中四国制作者フォーラムinこうち」が開催されました。「維新を起こせ!ローカルの夜明けぜよ!!」と題したフォーラムには、中国、四国にある全民放とNHK、計32局が協力、制作者を中心に約50名が参加しました。
 ミニ番組コンテストでは、エントリーされた30作品の中から、最優秀賞1本、優秀賞2本、審査員特別賞3本、制作者特別賞4本が選ばれました。
 審査員は、佐藤朋子さん(TBSテレビ情報制作局 兼 報道局 「ビビット」プロデューサー)、張江泰之さん(フジテレビ情報企画開発センター専任局次長 「ザ・ノンフィクション」チーフプロデューサー)、松岡大介さん(NHK制作局 開発推進 エグゼクティブプロデューサー)に務めていただきました。制作者特別賞は、高知の世話人会4局(NHK高知、高知放送、テレビ高知、高知さんさんテレビ)が選考しました。
 コンテストに引き続き、トークセッション「ローカルの戦い方」が行われました。コーディネーターのNHK高知放送局の長野亮アナウンサーが審査員の佐藤さん、張江さん、松岡さんにテレビパーソンとしての矜持や、何を大切にして日々制作にあたっているか、若手時代にやっておくべきこと、今後ローカル放送に求められること、などの話を聞きました。
 「インタビューが難しい、インタビューがなかなか取れないがどうしたらよいか?」という会場からの質問に、「もちろんインタビューが取れることが一番いいが、それは、番組の都合やエゴになっていないかもう一度考えてみてほしい。音をとるだけが取材ではない。取材させてもらうために相手に真剣に向き合うこと、誠意をもって伝えて、気持ちが取材相手に伝われば語ってくれる、駄目なら無理はしない。特にニュース企画、ドキュメンタリーの場合は影響が大きすぎるので、取材対象者を守らなければいけない」などの具体的なアドバイスがありました。この後、表彰式、懇親会の場においても系列を越えて熱く語り合いました。

 ミニ番組コンテストで最優秀賞を受賞した杉本雅さん(南海放送)、審査員の佐藤朋子さん(TBSテレビ)、世話人会の越智義久さん(高知放送)に、フォーラムの感想をお寄せいただきました。

最優秀賞受賞者
「これからも“愛媛のいいとこ探し”をしたい」
杉本 雅(南海放送 制作部)

 この度は最優秀賞という賞を頂き、大変光栄に思っております。このような機会を与えて頂きましたコンテスト関係者の皆様、普段私を指導して下さる職場の皆様、そして取材先で関わって下さった全ての皆様に感謝申し上げます。大変励みになります。
 出品番組「もぎたてテレビ」のコンセプトは“愛媛のいいとこ探し”。ビルが立ち並ぶ街中から信号機ひとつ無い島まで、毎週歩いて旅します。愛媛は私の故郷ですが、毎回「へぇ~!」が沢山あります。今回の「伊予市唐川びわの里をゆく」は、まさにその連続でした。 いつも「へぇ~!」の後に続くのは、「いい所だな、ここに生まれてよかった」という気持ちです。それを伝えたいと思っています。
 視聴者が「ここに生まれて良かった」と思えるような番組を作るためにも、日々精進。
 仲間と共に頑張ります。

ミニ番組コンテスト審査員
「制作者フォーラムに参加して・・・」
佐藤 朋子(TBSテレビ 「ビビット」プロデューサー)

 とにかく緊張していました。審査員も一段高いところから話をするのも、そして高知に降り立つのも初めてだったからです。気持ちが落ち着いたのは参加者の皆さんのVTRを見出してから。画面から溢れ出るエネルギーと誠実さに引き込まれたからです。
 入社面接官をした経験から「面接官の個性が違っても、結局◎をつける学生は同じになる」事が多かったので、今回の採点もそうなるだろうと思っていました。ところが、審査員の評価はバラバラ!しかも、私が最高点を付けた作品に0点が付いていたり、その逆もありました。ここまで差が出るものか?!と驚きましたが、改めて作品を思い返すと、人によって好みは違いますが、結果選ばれたものには「ヒトが好き」という目線がありました。ヒトに興味があるからこの仕事しているんだと再確認出来た良い機会でした。ありがとうございました。

実行委員
「ローカル放送の意義」
越智 義久(高知放送 報道制作局専任局長)

 今年は、日本が近代国家へと大きく歩み出した明治維新から150年の節目の年。テレビを取り巻く環境が大きく変わろうとする時代の中、中四国の民放とNHKの若手制作者が一同に集まり交流を深める「中四国制作者フォーラムinこうち」の開催となりました。 トークセッションのテーマは「ローカルの戦い方」。TBSテレビ、フジテレビ、NHK、日本のテレビの第一線で活躍しているプロデューサーが、ローカル放送の意義をどのように捉えているのか?当事者として、とても興味がある話題でした。
 「地域の人に光を当てた番組を通じて、地域を元気にすることがローカルの使命」。ゲストから発せられた言葉は、多くのローカル局が番組コンセプトとしてうたい、取り組んでいることだと思います。私たちがなすべきことは変わらないと思う一方、「全国・世界に向けた発信を目指すべき」という言葉から、変わらねばならないことも改めて意識しました。
 ローカルの若手制作者にとって、多くの刺激を受けた場になったと思います。フォーラムで交流を深めたライバルたちと競い合いながら、これからのテレビの果たす役割と可能性を見据えた番組づくりに期待しています。