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各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2018年3月12日

全国制作者フォーラム2018~参加者の声~

寄稿

 2018年2月17日(土)、東京で「全国制作者フォーラム2018」を開催しました。
 開催内容はこちら

 フォーラムで司会をしていただいた田中美音さん(琉球放送)、ミニ番組でゲスト賞を受賞したお2人や参加者の方に感想をいただきました。

司会
「現場だけでは学べない制作者たちの思い」
琉球放送 田中 美音

 去年秋に開かれた九州放送映像祭をきっかけに今回司会のお話を頂き、全国制作者フォーラムに参加しました。
 入社1年目の新人が司会で本当に大丈夫だろうかと心配しながらも、つい進行役だということを忘れて、丹羽教授を中心に展開されるゲストトークに夢中になっていました。
 というのも、学生時代にメディアについて学ぶ機会もないままこの業界に飛び込んだ私は、入社してから現場でしか番組作りについて学んだことがなく、周りを海で囲まれた沖縄では聞くことができない全国各地の貴重な話を聞くことができたからです。
 特に印象に残ったのは、「企画書があるとゴールが決まってしまう」という話。
 取材前に、コメントや構成などをみっちりと書きこんだ企画書を作り、念入りな準備をしていた私にとって、はっとさせられる言葉でした。
 テレビに今求められている脱・予定調和。これからはもっと「攻め」の姿勢で取材に当たらなければ、と決意し沖縄に戻りました。

参加者
「やっぱり基本はドキュメントなのかも」
NHK津放送局 原 英輔
写真右側(伊藤隆行さんと)

 この度は、テレビ界を代表する名プロデューサーから賞を頂き、身に余りすぎるほどの光栄で素直にビックリしております。
 TVディレクターに就いて4月で5年目。ニュース企画、長尺の報道番組やドキュメンタリー、バラエティや、スポーツ中継、ラジオドラマの演出など、多様なジャンルの番組に挑戦させて頂きました。
 そんな中での全国制作者フォーラム、テーマは「予定調和を打破するためにどうすればよいか」。一番印象に残ったのが、ゲストの皆様の会話中に出た「“池の水”はドキュメントですね」という言葉。これまで制作してきたどの番組も、最終的に内容の落ち着く先は“ドキュメント”という共通点があり、強く共感しました。
 「視聴者の“見たい”、“知りたい”という興味」と「ドキュメント」とをつなぐ架け橋のような役割に「演出」があるかなと思うと、ディレクターという職業に改めてやりがいを感じることができました。
 これからも、視聴者の興味に応えていける番組制作をしていきたいと思います。

参加者
「伝えたい熱意」
九州朝日放送 石田 大我

 テレビマン歴1年にも満たない私のような若輩者が参加していいのか、戸惑いながら臨んだ「全国制作者フォーラム」でしたが、“制作者”の皆さんの拘り抜いた映像やお話に引き込まれ、気づけば時間を忘れるほど楽しんでいる自分がいました。報道、バラエティ、ドキュメンタリーなどジャンルはそれぞれ違いますが、自分が取材して集めた情報、映像、そして人の思いに誇りを持って仕事をされている皆さんを見て、テレビの魅力や可能性を改めて感じました。私は報道部に所属していますが、どんな企画や映像にもその根底には必ず社会性が眠っていて、制作者の伝えたい思いがあることを改めて知りました。
 “脱予定調和”を議題としたディベートでは、型にはまって常に正解を目指すのではなく、自分の伝えたいこと、面白いと思うことをストレートにぶつけていく勇気が必要であると学びました。今回の経験はテレビマンとしての在り方を教えられるものでした。今後さらに精進し、いつかまた必ず参加させていただきたいと思います。

参加者
「とても刺激的な時間と出会いに恵まれました」
テレビせとうち 湯浅 敦士

 初めて制作者フォーラムに参加しました。全国の熱意にあふれた制作者たちが集っており、終始圧倒されていました。地方局ではどうしても自局やエリア内の裏局にばかり目を向けてしまいます。そんななかにあって、他エリアの、ともすれば系列を飛び越えたところで、純粋に「番組」について意見をかわし合うというのは、とても有意義なことと思いました。
 また「脱・予定調和」に焦点をあてた議論では、ちょうど自分が新企画として立ち上げようとしている番組と当てはまるところが多く、参考になるとともに、方針は間違っていない!という妙な自信にもつながりました。
 私も昨年より、放送エリアを飛び出し、他県の放送局や制作会社とタイアップした番組制作を始めています。ローカル局の新たな試みとして、もしご興味がある放送局様、制作会社様、ご一報いただければ嬉しいです。a_yuasa@webtsc.com〔湯浅〕
 制作力の向上には人脈の構築が欠かせないと思います。このたびはこのような機会を設けていただき、ありがとうございました。

参加者
「無理にいい話にしなくたっていいんだ!」
静岡放送 大久保 友恵

 あの番組を作ったテレビマン達は、企画の発想術から取材の手法、ナレーションの書き方まで、惜しみなく手の内を明かしてくれました。企画書まで見せていただけるとは…感激しました。
 同じ制作者という立場もあり、実際の取材や編集で陥りがちな悩みには共感できる部分が多々ありました。また、それを打破する具体的なアドバイスをいただけたことは、今後の制作現場で活かせる貴重な糧となりました。
 「脱・予定調和」についてのNHK植松氏の話はまさに目からうろこでした。どうも私は、まとめたものを見せたがる。無理にいい話にしたがる。そこに予定調和が生まれ、取材・表現の限界を自ら作ってしまうのだと感じました。
 「もっともっとテレビの可能性を試し、広げていこう!」そう背中を押された気がしました。

参加者
「やっぱりテレビが好き」
テレビ埼玉 菅 美香

 「池の水、私も抜いてみたかった…。」そんな思いを抱えて日々を過ごす中、「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」のプロデューサーがゲストで来るということで参加しました。
 去年に引き続き2回目の参加ですが、制作部に配属されたときに抱いた情熱が思い起こされ、「やっぱりテレビは楽しい、テレビが好きだ」と、再認識する場となりました。
 テレビ放送を取り巻く環境が変化する中で、時代の流れに適応し、視聴者のニーズを汲み取った番組を作れば、これからも見ていただけると思っています。そのため、トークセッションのテーマ「予定調和をどう打ち破るか」は、大変興味深く聞きました。綺麗ごとではない、もっとリアルな姿、予想できない、ありのままの映像を視聴者は求めていると感じました。
 予定通り制作出来るスキルを持ちつつ、そこから更に偶然を歓迎し、楽しめる制作者になりたいです。

※Internet TVガイド「気まぐれドキュメンタリー散歩」にこのフォーラムの記事が掲載されました。→記事はこちらから