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各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2023年3月23日

全国制作者フォーラム2023~参加者の声~

寄稿

 2023年2月18日(土)、東京で「全国制作者フォーラム2023」を開催しました。
 開催内容はこちら

 フォーラムで司会をしていただいた、佐々木夢夏さん、ミニ番組のゲスト賞を受賞した方々に感想をいただきました。

フォーラム司会
「同年代の制作者から受けた刺激を糧に」
佐々木夢夏 三重テレビ放送

 司会台から見渡した参加者の皆さんの真剣な眼差しと作品を拝見した後の充実感が、胸に刻まれています。
 3年ぶりの開催となった全国制作者フォーラム。その司会という大役が経験の浅い私で良いのだろうかと、当日の朝まで不安が拭えませんでしたが、作品の上映が始まってすぐに、この場に来られたことがどれだけ幸運なことかを痛感しました。
 出品されていた15作品すべてに、同年代のディレクターや記者、カメラマンの丁寧な取材が見て取れて、皆さんの熱い思いがひしひしと伝わってきました。テロップ一つ、画角一つ、ナレーション一言にまでこだわりが詰まっていて、本当に学ぶことだらけ。「1つでも多く吸収して帰りたい」と、気がつけば、司会用の台本はメモが書かれた付箋でびっしりと埋め尽くされていました。
 会社の規模や企画の予算、ジャンルは様々でも、発想力や工夫の積み重ねでいくらでも良いものは生み出せることを教わりました。各局の皆さんに追い付け追い越せという気持ちで、今日からまた取材に臨みたいと思います。

笠井賞受賞
「表現できるカメラマンを目指して」
吉岡朱里 NHK徳島放送局

笠井知己さん(写真右側)と

 報道カメラマンとして日々ファインダーを必死でのぞき込むあまり、視野が狭まりがちななかで全国から集まった方々と腰をすえて作品を視聴し、議論する場は貴重な機会です。ふだん画面の向こうにいる、伝えたい相手が自分の作品を一緒に見てくれているのも新鮮な気分でした。表情の変化の捉え方や伝える目線をどこに置くかなど、多様な立場の方から意見をいただくことができ、映像が持つ力や可能性をあらためて実感しました。
 また、力作ぞろいの作品もスクリーンから振り向けば、すぐそばに制作者ご本人がいます。作品に込めた思いやこだわり、取材中に迷ったことなどを率直に教えてくれ、共感したり一緒に悩んだりと充実した時間でした。
 今回のフォーラムを励みに、伝えたいメッセージをしっかりと映像で表現できるよう今後も頑張っていきたいと思います。
 ありがとうございました。

山﨑賞受賞
「『妄想力』で、番組制作に挑む」
栁瀬晴貴  CBCテレビ

山﨑裕侍さん(写真右側)と

 自分をコントロールできない「トゥレット症」という難病を知ったのは私が自宅で出前を頼んだ時です。料理を届けてくれた配達員の男性からウーバーイーツアプリのメッセージを通じて、『私はトゥレット症という自分の意思に反して大きな声や独特な動きが出てしまう病気です』と聞きました。
 それをきっかけに取材を始め、半年ほどが経過。現在はドキュメンタリー番組の放送も視野に取材を継続中です。今回、全国制作者フォーラムで上映していただいたミニ番組は、去年9月に初めてニュース企画で放送した11分。講評では審査員の方に、ナレーションを減らすことによる映像の生かし方や構成についてアドバイス頂きました。ありがとうございました。
 また、トークセッションで印象に残ったのは「妄想力」が大事ということ。
 取材の先でどんなことが起こりえるのか、想像するだけでなく、具体的にイメージ映像を浮かべ「妄想」して臨むことは効果的であるという教え。頂いた金言を番組作りに生かします。

佐野賞受賞
「“共通言語”で語り合う刺激と喜び」
泉優紀子 北海道放送

佐野亜裕美さん(写真右側)と

 「制作チームの中に“共通言語”があるか」という話題が、トークセッションの中であがりました。「これを描きたい」「こういうのなんかいい」「これはおかしい」という共感や議論が現場でできたとき、自分はそこに“共通言語”の存在を感じたと気づきました。今回私の作品について、佐野様などゲストの方から、「取材相手との信頼関係を築いていたことが伝わった」とご意見をいただきました。身に余るお言葉ですが、取材相手も含め現場の中で“共通言語”をつくろうとするコミュニケーションと、全員の熱意があったからこその関係性でした。
 フォーラムでは全国はもちろん、北日本の時点から系列や職種、ジャンルをこえた作品が集まりました。拝見するだけで表現の引き出しが増える刺激を受け、さらに同世代の仲間が全国で頑張っていると実感できたことは、今後の励みとなります。このような場に送り出してくれたデスクや制作チーム、そして未だ根強い偏見もある中で取材を受けてくださった皆さんに、感謝でいっぱいです。

丹羽賞受賞
「制作者フォーラムを終えて」
助川虎之介 NHK仙台放送局

丹羽美之さん(写真右側)と

 地域、組織、ジャンル…あらゆる枠を越えて、放送業界の制作者の方々が一堂に会する場に出席したのは今回が初めてのことでした。コロナ禍真っただ中の昨年度に入局した私。約2年間、同じ会社の同期とすら集まることがままならない状況で、一人のディレクターとして何が出来るのか模索する日々を送っていましたが、今回の制作者フォーラムでは、各地で活躍する同年代や大先輩方から制作に対する熱意や覚悟、そして喜びを伺うことができ、改めてメディアとしての責務を確認することができました。ありがとうございます。
 余談ですが、今回賞をくださった審査員の丹羽美之さんの講義を大学在学中に受講したことがあります。当時はこの業界に自らが飛び込むことになるとは考えてもいませんでしたが、今回このような形で再びお会いできたのも何かの縁、と閉会後に丹羽さんにお声がけし、制作した番組やこの先目指す方向についてご相談できたこと、これもまた制作者フォーラムを開催していただいたからこそのことと感謝しております。
 今回いただいた賞の名に恥じぬよう、この先も皆様の目にとまる番組を制作すべく日々精進して参ります。この度は素晴らしい機会を与えていただき、ありがとうございました。