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各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2019年2月14日

もっと  制作者フォーラム in かなざわ

レポート+寄稿

 2018年12月15日(土)、NHK金沢放送局にて、北信越制作者フォーラム実行委員会と放送文化基金が主催する「北信越制作者フォーラムinかなざわ」が開催されました。
 このフォーラムには、北陸3県と長野、新潟にある全民放とNHK、計22放送局が協力し、制作者を中心に、約70名が参加しました。初めに行われたミニ番組コンテストには、21作品が参加。
 審査員の佐々木聰さん(山口放送 テレビ制作部チーフプロデューサー)、高橋弘樹さん(テレビ東京 制作局プロデューサー)、奥下和彦さん(映像作家)が上映された作品についてそれぞれ講評を述べました。
 ミニ番組コンテストに引き続き、トークセッション「テレビじゃなきゃ!」が行われました。会場の参加者から、テーマの見つけ方についてや、番組づくりにセンスは必要か、またテレビとネット動画の違いについてどう思うかなどの質問が投げかけられました。奥下さんは、テレビとネットとの違いについて、テレビは血が通っていると思う、テレビの映像からは体温が伝わってくると述べました。高橋さんは、企画をつくる過程について、自分自身が見てみたいという欲望を発展させて、視聴者が見たいものを考えて企画を練ると述べました。佐々木さんは、番組づくりには、センスよりも「伝えたい」という気持ちが大切だと語りました。また、テーマの見つけ方について佐々木さんは、人との出会いから生まれることがほとんどである、話を聞くことによってそこから感じる怒り、悲しみ、理不尽さを掘り下げればテーマは自ずと見えてくると語りました。会場からは質疑応答が絶えず、表彰式、懇親会の場においても系列を越えて熱く語り合われました。

 ミニ番組コンテストで最優秀賞を受賞した仁科賢人さん(長野朝日放送)、実行委員の蔵宏太朗さん(テレビ金沢)さんに、フォーラムの感想をお寄せいただきました。

最優秀賞受賞者
「テレビじゃなきゃ!」
仁科 賢人(長野朝日放送 報道制作局報道部)

 それは、本企画のスタート時にカメラマンと真っ先に話し合ったことであり、フォーラムのテーマでもありました。私たちが出した答えの1つは「プロが撮影した見応えのある映像をじっくり見てもらうこと」。街の何気ない、でも失われつつある大切な風景を、カメラマンが丁寧に切り取りました。そのこだわりを評価していただくことができ、とても嬉しく思います。ただ、もっと嬉しかったのは、フォーラムでたくさんの「テレビじゃなきゃ」に出合えたことです。取材力・貴重な過去映像・ローカルならではの生中継、そして講師の方々による「もう一歩」のアドバイス。非常に刺激的で、制作意欲を新たにすることができました。
 地方局にしか作れないコンテンツとは?考えるのも、試すのも、「今じゃなきゃ」。若手制作者の熱意であふれた素敵な時間でした。

実行委員
「テレビじゃなきゃ」できないことって?
蔵 宏太朗(テレビ金沢 制作部長)

 「もともと特別なオンリー1...」と口ずさみながら心をほっくりさせていたのも懐かしい話。いろんなメディアが出てきて、誰でも動画がアップできて、テレビを見ない若者が増えてきて。漠然とした不安を抱えながら、テレビの個性を探るフォーラムを企画しましたが、発見がいくつもありました。
 何かを伝えたいという熱い気持ちが大切だと語った佐々木總氏、テレビにはほかのメディアにない「ストーリー」が描けると話した高橋弘樹氏、ネットとテレビで活躍する奥下和彦氏はテレビの影響力の大きさを実感していると話されました。そして出品作の中には、生中継先に迷い込んできた鳥の飼い主が、情報番組の時間内に見つかるという作品もあり、これこそはテレビじゃなきゃ、と思った次第です。
 そしてフォーラムの開催に向けては、いつもはライバルである石川の放送局同士がチームを組みました。ひとつの目標に向け、様々な個性がひとつになって、いろんなアイデアが飛び出し、これはテレビ()じゃなきゃできない、とも思いました。
 時代はどんどん変わっていきますが、熱い気持ちと斬新なアイディアで、テレビの新しい個性を探っていきたいと思います。