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各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2018年11月27日

もっと  制作者フォーラム in さっぽろ

レポート+寄稿

 2018年10月26日(金)、STVホールにて、北日本制作者フォーラム実行委員会と放送文化基金が主催する「北日本制作者フォーラム in さっぽろ」が開催されました。 フォーラムには、東北6県と北海道にある全民放テレビ局とNHK、計40の放送局が協力し、制作者を中心に約50名が参加しました。
 初めに行われたミニ番組コンテストでは、エントリーされた70作品の中から各地区の予選を通過した19作品が上映されました。
 審査員の加藤就一さん(NNNドキュメントディレクター)、水高満さん (NHK制作局開発推進チーフ・プロデューサー)、鎮目博道さん(テレビ朝日報道局クロスメディアセンター AbemaNews特番・新番組開発担当プロデューサー 兼 AbemaTV編成制作局制作部プロデューサー)、各地区代表幹事6名、そして会場の参加者と上映された作品についてそれぞれ質疑応答が行われました。
 引き続き、トークイベントが行われ、NNNドキュメントディレクターの加藤就一さんは<ウルトラクイズのDはドキュメントをこう作る>をテーマに「アメリカ横断ウルトラクイズ」のディレクター時の経験を踏まえて現在はドキュメンタリーを制作していることや、当時の映像を見ながらカメラワークや表現方法、を解説。また“感情をどうひろいあげていくのかが大切”など話してくれました。
 NHKの水高満さんは<「チコちゃんに叱られる!」ができるまで>について、チコちゃんは「ボーっといきてんじゃねえよ!」というセリフ以外は番組と一緒に育てるというスタイルをとっていることや、子供の素朴な疑問に対して大人なら知っていなくてはいけないことを知らないでボーっと生きているから叱られるのであって、物事の知識がないからとか、単に人をディスるために叱るのではないと説明しました。
 AbemaTVの鎮目さんは<AbemaTVはこうやって作ってます>というテーマで、AbemaTVは、ながら視聴を狙っていて、動画を配信するのではなく番組表にして24時間見れるようにしていることや、地上波テレビがやったことはそのまま絶対にやらないこと。“局の都合より客の都合”で制作していることなどを話してくれました。また実際にボツになった企画なども紹介してくれました。
 会場の制作者たちは真剣な眼差しで先輩方の話を聞いていました。

 ミニ番組コンテストで最優秀賞を受賞した小川祐さん(NHK盛岡放送局)、審査員の加藤就一さん、実行委員の山本彩華さん(NHK札幌放送局)に、フォーラムの感想をお寄せいただきました。

最優秀賞受賞
私にとっての「色」とは
NHK盛岡放送局 小川 祐

 春、街に彩りが溢れる季節。私は「色」というものに注目しました。取材を進めると生まれつき色を感じにくい「色覚多様性」を持つ阿部さんという男性に出会いました。阿部さんが感じる「春」とは一体どんなものなのか知りたいと思いました。分かったのは阿部さんは生まれつき赤色を感じにくいということ。ただ自分の中に存在する色彩の中で綺麗だったり、温かいや冷たいなど色に印象を持っているということです。そもそも私たちは一人一人色の感じ方が違うと言われていて、 色覚を感じる、感じにくいはその人なりの「個性」なんだと。そんなメッセージを込めてこの企画を制作しました。映像を見た人が自分にとっての「色」とはなんなのか。そしていつもより日常が少しでも明るく色づいてくれたらと思います。

ミニ番組コンテスト審査員
北日本制作者フォーラムは熱かった
NNNドキュメントディレクター 加藤就一

 ミニ番組コンテストという事で、10分という短い時間では心に響く所までは中々表現できないのだろうな、と勝手に想像していた処見事に皆さんの作品に打ちのめされました。加齢とともに涙腺が弱くなったものの、3作品で泣かされました。チャレンジングな作品も多くあり驚きの連続でした。
 私の講演「ウルトラクイズのDがNドキュを作るとこうなる」が、ドキュメンタリーとされている現在の形にとらわれず、発想や表現方法をどんどん自分流にチャレンジして欲しいというものだったので、今後の制作者たちが頼もしく思えました。
 また講演者の人選も素晴らしく、NHKのCP水高さんが今をときめく「チコちゃんに叱られる」がどう作られるか、またテレ朝の鎮目さんはAbemaTVで挑戦的な番組をどう開発しているか、をお話くださり、私自身が刺激を受け、勉強になった次第です。
 スタッフの皆さんお疲れ様でした。

実行委員
北日本制作者フォーラムを終えて
NHK札幌放送局  山本彩華

 9月6日に「北海道胆振東部地震」が発生したなか、「北日本制作者フォーラム in さっぽろ」を開催出来たことにまずは感謝申し上げます。放送文化基金をはじめ、ゲストのみなさま、北海道世話人会、各県幹事社の皆様のおかげで無事終えることが出来ました。お忙しい中、準備にご協力いただき、また、当日は北海道にお越しくださりありがとうございました。
 今回は、北海道と東北の31の放送局から70本の作品がエントリーされ、一次審査を通過した19本の作品を当日上映しました。トークイベントでは、加藤さん、水高さん、鎮目さんの貴重なお話を聞かせていただきました。ゲストの皆さまからは、若い人と話せてよかったという言葉を頂戴しました。参加者とゲスト、どちらにとってもよい機会となっていれば大変嬉しく思います。また、参加者の皆様にとって今後の番組作りのヒントになっていれば幸いです。
 私自身、普段業務ではなかなか他社の方との接点がないため、この機会に多くの方とお話出来たことはとてもいい経験になったと思っています。作品や講演からもたくさんの刺激を受けました。
 様々な方と交流できるこのフォーラムが、今後も続いていくことを願っています。