自転車に乗って興奮する脳性麻痺の男の子。トライアスロンに挑戦する視覚障がいの男性。みんなタンデム自転車と出会い人生が変わりました。松山市の津賀薫さん（69）がタンデム自転車の普及活動を始めたのは2010年。視覚障がいの夫と2人でタンデム自転車に乗る夢を持っていましたが、夢をかなえる前に夫は亡くなりました。そして今、障がいがある多くの人たちと夢を実現させています。少し背中を押してあげることでそれぞれの可能性が開花しているのです。タンデム自転車を通して「心のバリアフリー」を目指す人たちを追ったドキュメンタリーです。

夫を亡くした妻が、健常者と障がい者が一緒に乗れるようにと、タンデム自転車の会を思い付く。一女性の感性や想像力が、「共生」というよき社会へと導く話となっている。

取材を進める中で印象的だったのが、障がい者の方々の溢れんばかりの笑顔と家族の「私たちのことをもっと知ってほしい」という言葉です。振り返ると日々の生活では、障がいのある人との接点があまりにも少ないことに改めて気づかされました。人はひとりでは生きられません。気付かないところでも関わり合い、支えあっています。しかし、「自分さえよければそれでよい」という風潮、自助を求められる社会の中で私たちは知らず知らずのうちに心の中に“障害”という壁をつくってはいないでしょうか。
津賀さんが訴える心のつながりの大切さ、そして本当のバリアフリー社会を考えるきっかけになれば幸いです。
テレビ愛媛　篠原賢三

プロデューサー　岡本匡史
撮影・編集　友近晶二
ナレーション　名護谷希慧
ディレクター　篠原賢三
CG　木下恵梨佳