第47回

ドキュメンタリー部門

奨励賞

受賞者

北海道放送

作品名

クマと民主主義~記者が見つめた村の1年10か月~

概要

人の命さえ簡単に奪う力を持つ、ヒグマ。2018年夏、北海道の小さな村に連日現れ、庭や小屋を荒らした。地元の猟友会がパトロールを続け、2か月後にクマを駆除。
しかしその後、クマが出ても猟友会は出動しなくなった。村が猟友会に支払う出動報奨金を、議会が問題視したからだ。
村と議会の議論は密室で進んだ。議会は説明責任を果たさず、政治と住民の距離が離れていく。クマの出没は増える中、村は猟友会に出動を要請できないまま、季節が巡っていく。詳細を知らない住民は声を上げないまま、クマの出没に怯える。
クマに揺れ続ける村の1年10か月から、民主主義のあり方を考える。

選考理由

ヒグマの出没する北海道の小さな村。現実的な議論をしない議会と困惑する住民、報奨金問題で切られる猟友会。長い取材を経て、ようやく解決に前向きになる人々の様子が、まるでドラマのように描かれている。若い女性記者の奮闘が光る作品。

受賞の言葉

課題に向き合いながらも、村の方々の温かさに触れ、小さな村だからこそ、いつかクマ対策の鍵を見つけるのではと感じて取材を続けてきました。
放送後、猟友会の出動が再開し、クマ出没の予防策も進展しました。取材を始めて2年後、村を訪れた専門家が「対策は正しく進んでいる」と称え、村職員と住民が「クマといい方向で向き合いたいね」と一緒に喜んだ姿が印象に残っています。村が葛藤してきた歩みは、野生動物に悩むほかの自治体の参考になるものだと感じています。
何をどう伝えるべきか悩みながらの制作でした。それぞれの立場から、何度も想いを語ってくれた、村の方々あっての番組です。評価をいただき、スタッフを代表して感謝を申し上げます。
北海道放送 幾島奈央

スタッフ

プロデューサー 山﨑裕侍
ディレクター 幾島奈央
編集 永井孝典(HBCフレックス)
撮影 宮形徹(HBCフレックス)、岡本貴寿、大内孝哉(HBCフレックス)
音声 小関大輔(HBCフレックス)
CG 北野里奈(HBCフレックス)
MA 西岡俊明(フィクス)
出演 赤城敏正

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