第52回

放送文化部門

受賞者

西村匡史(TBSテレビ)

業績

17年にわたる「死刑」当事者の肉声記録と番組の制作

業績内容

裁判員制度開始から17年間にわたり、死刑の取材を継続してきた。国が実態を開示しない中、死刑囚や家族、遺族の肉声を原則実名・顔出しで記録し続けた。カメラ取材が禁じられた拘置所の面会室には法廷画家を同席させ、イラストで死刑囚の実態を伝える手法を開拓したことは、放送界に大きな影響を与えた。『報道特集』や「映画」、反響を呼んだ「配信記事」など多角的な発信を通じて今も社会に死刑の意義を問い続けている。

選考理由

死刑囚とその家族や、被害者の遺族。さらに死刑の判断を下した人々の思いまでを深く聞きとる。まさに死刑当事者の肉声を17年にわたり記録し続け、制作してきた番組の数々は、番組として優れているだけでなく、日本人に死刑制度についての熟考を促す力を持つ。裁判員制度の中、誰もが判断を迫られるはずの問題にもかかわらず、必要な議論が深まらない今、西村氏の問題提起には貴重な社会的意義がある。これぞテレビの果たすべき役割と、高く評価したい。

受賞のことば

「死刑の実態を知らされないまま、市民に極刑の判断を迫るのは不当だ」。裁判員として死刑判決を出し、今も苦しむ1人の男性との出会いが、私に取材の覚悟を定めさせました。死刑囚やその家族、遺族、裁判員に至るまで、原則、顔出しでの取材にこだわったのは、他人事とされがちな死刑を「自分事」として考えてもらうためです。しかし、その代償として当事者に厳しい批判が向くこともありました。重い負担を負って語ってくれた当事者のため、そして国民一人ひとりに考えてもらうためにも、私は死刑の取材を続けていきたいと思います。

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