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今さら知った、ニノの素顔と葛飾の今|『岡田准一とロバート秋山の今さらシロー!』

桧山珠美 ▶▶▶『日日是てれび日和』 気になる番組を読み解く週一コラム 

【第61回】『岡田准一とロバート秋山の今さらシロー!』(TBS 2026年10月12日21時54分~)

以前から注目していた番組が、ついにゴールデン・プライム帯に進出した。TBS『岡田准一とロバート秋山の今さらシロー!』だ。

「今さらシロー」と聞いて、小柳ルミ子の『今さらジロー』を思い浮かべた人は、私同様、そこそこの年齢と思われる(笑)。ま、それは置いとくとして、この番組について。公式SNSによれば、岡田と秋山の仲良しコンビが“今さらだけど知っておきたい”テーマを全力で調査しつつ、時に全力でふざける「全力調査!再発見バラエティ」だという。

初回は、ゲストに二宮和也を迎えての「ニノの地元凱旋SP」。進行役の野呂佳代に加え、途中から「名探偵津田」でおなじみゴイゴイスー津田篤宏(ダイアン)も参加。にぎやかな顔ぶれが揃った。

登場するなりニノは、子どもの頃の地元葛飾にまつわるしょっぱい思い出を語った。当時、葛飾が「住みたくない街」にランクインしていて、社会の小テストで、「住みたくない街ベスト5」を書く際、自分の地区を書かざるを得なかったというのだ。番組によればそんな葛飾が、2019年の調査では「共働き子育てしやすい街ランキング全国1位」に。かつてのイメージから一変した街はどう変わったのか、ニノが自ら凱旋調査するというわけだ。

まずは、葛飾が誇る世界的おもちゃメーカー「タカラトミー」に潜入。一行を全社員でお出迎え。ここに下町の温かさが出ている。さらに岡田と中学時代の同級生とが再会するというサプライズがあった。中学の卒アルまで持参していたが、岡田のほうはどうやら覚えていない様子。それもまた秋山たちがイジって笑いにする。その同級生は現在、「ベイブレード」(昔のベーゴマの進化版)の責任者をつとめているということで、岡田と対決したいと勝負を挑んだ。「いつか仕事で(岡田と)会ってやろうと思って。それが叶って嬉しい」という同級生の言葉には、ウルッときた。テレビの中のアイドルやスターは、知らず知らずのうちに、誰かが頑張る原動力になったり、生きる励みになったりするのだろう。大げさでなく、いろんな人の人生を背負っているのだ。

続いて、ニノの思い出バスツアー。車窓の風景を指さしながら、「あのビルの塾に通ってました。俺が行ってた塾がもうなくなってる」「俺が初めて髪切ったところです」「ここで初めて消しゴム買いました」「そこが俺のじいちゃん家」と、次々に思い出の場所を紹介するニノ。その気取らなさと、はしゃぎっぷりがなんとも意外だ。もっと体温の低いイメージがあったから。ニノってこんな気さくな人だったのか。そんなことを今さら知ることができたのも、収穫だった。日本アカデミー賞授賞式で、前年の受賞者・岡田に触れたニノのスピーチ映像も流れた。

そんなふうに、番組には終始、笑いが溢れていた。

秋山がロケの名手であることは、それこそ“今さら”言うまでもない。相手の懐に飛び込み、その人の面白さを巧みに引き出す技には、毎回感心する。気づけば周囲を巻き込んでひとつの笑いを生み出す。いわば「巻き込み芸」。イジられた本人はもちろん、周囲までいつの間にか笑顔になっている。

そんな秋山に負けず劣らず楽しそうなのが岡田だ。大河ドラマ『軍師官兵衛』で主演を務めた硬派なイメージとは一転、ここでは秋山に乗せられ、すっかりくだけた顔を見せる。このギャップがなんともいい。

大阪出身の岡田、地元の遊園地「ひらかたパーク」のイメージキャラクター「ひらパー兄さん」としても関西ではおなじみ。CMなどで見せてきたユーモラスな一面が、この番組でも存分に発揮されている。

そもそも岡田は、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の企画「ジャニーズ予備校」をきっかけに芸能界入りした。あの頃から知る者としては、今の活躍が感慨深い。どこか親戚の子どもを見守るような親近感がある。「あの子がこんなに立派になってー」と。

それは、一昨年から昨年にかけて、Netflixで配信されたtimeleszの新メンバーオーディション『timelesz project(タイムレス・プロジェクト)』にも通じるものがある。何者でもない人たちが、オーディションで選ばれ、夢を掴み、スターへと歩み出す。その過程を見守る楽しさは、育成ゲームにも似ている。その舞台が、テレビから配信へと変わったのは、テレビ応援団としては若干寂しさもあるが…。

街の変化を知り、スターの意外な素顔に触れ、誰かの長年の願いが叶う瞬間に立ち会う。岡田とニノの知られざる絆も感動ものだった。あまりなじみのなかった葛飾だが、今さら知ることは多く、実に面白かった。

こんなふうにぼーっと楽しめるのも、テレビのいいところだろう。「あ~面白かった」で終わる番組があってもいい。

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プロフィール

桧山珠美

桧山珠美(ひやまたまみ)
HBF MAGAZINEでは、気になるテレビ番組を独自の視点で読み解く連載『日日是てれび日和』を執筆中。
編集プロダクション、出版社勤務を経て、フリーライターに。
新聞、週刊誌、WEBなどにテレビコラムを執筆。
日刊ゲンダイ「桧山珠美 あれもこれも言わせて」、読売新聞夕刊「エンタ月評」など。


“HBF CROSS”は、メディアに関わる人も、支える人も、楽しむ人も訪れる場所。放送や配信の現場、制作者のまなざし、未来のメディア文化へのヒントまで──コラム、インタビュー、レポートを通じて、さまざまな視点からメディアの「今」と「これから」に向き合います。

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