
日本からアフガニスタンに入るコースとしては、中東、パキスタン、インドのデリーからの3コースが考えられ、当初見積もりを取った結果一番安かった、インド経由のコースを指定してきた。だが、このコースを定刻通り飛んだ記憶は数少ない。アフガンに入る空路の心配は、航空機の不備による遅延・欠航である。
今回も、搭乗時間になっても窓口は開かれず、1時間後、航空機の不良により航空機を変更する旨のアナウンスがあり、4時間遅れてアフガン・カブール空港に到着、出迎えのRTA国際部長は、5時間待ったと悲痛の声を上げた。

今回の研修は、国際平和維持軍の交通事故に始まるカブールの混乱により、予定より開始が一週間遅れた。7月後半にABU子ども番組セミナーを控え、RTAからはマローフPDが自作の番組を持参して参加することに決まっている。今回の研修はその番組の制作指導が重要なポイントである。一週間の遅れを気にしつつ、研修は始まった。
彼は子どもの遊びをテーマに、各地の子どもたちを取材した。私も二箇所のロケに同行したのだが、子どもたちの遊びが日本の伝統的な遊びに実に似ているものが多いことに驚いた。石蹴り然り、手をつなぎ、輪を作ってまわる遊びは、“かごめかごめ”さながらである。これらの遊びは受け継がれていると言い、非常に興味深かった。
さて、完成した番組を見ると、各種の遊びを羅列しただけであって、起承転結が見られない。過去の研修で番組の起承転結は何回も講義しているが、まだ身についていないようだった。このことをマローフに指摘すると、次回からは注意すると言ってくれた。
私は彼に対して、「放送用の番組では出来ないことだが、ABUの番組視聴会の時、ヘッド、ボディ、コンクルージョンをあなた自身が演出しなさい。ヘッドの部分は子どもの遊びについてのあなた自身の考えを、コンクルージョンは各国の参加PDの意見を聞いてまとめなさい。」と助言した。
慌しい研修の日々も過ぎ、マローフPDは番組を携えて無事、マレーシアに旅立った。