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当基金の三つの主な活動である助成、表彰、制作者フォーラムに関連する情報、その他事務局からのお知らせなどを掲載しています。

助成 表彰 第51回ABU総会に参加して
放送文化基金専務理事 阜ウ利樹

プレゼンテーションを行う阜ウ専務理事

 第51回ABU総会は、10月27日から2日間の日程でマカオで開催され、アジア太平洋地域を中心に合わせて65の国と地域から600人余りが参加しました。放送文化基金は、昭和49年に設立された当初から、ABUと関わりがあり、日本国内だけでなく、アジア太平洋地域の国々の放送文化の発展・向上にも助成等を通じて協力をしています。

 今回は、総会に先立って10月24日に行われた「番組委員会」で、放送文化基金としての活動報告を行いました。放送文化基金は、ABUに対して過去10年間でも19件の事業に、合わせて3000万円余りの助成をしています。また、優れた番組に贈られる「ABU賞」の賞金の一部も提供しており、こうした点について活動報告を行いました。

 一方、総会では、これからの放送の在り方を大きなテーマにして議論が行われ、参加している放送局の関係者などから「急速に普及しているインターネットの活用にどう取り組んでいくか」などについて熱のこもった意見交換が行われました。

 また、総会では新しい執行部が選出され、会長には韓国KBSのツ大鉉(チョ・デヒョン)社長、副会長にはNHKの堂元光副会長などが選ばれました。


助成

○放送ライブライリー 夏休み特別企画 の開催

 平成25年度に助成を行った「将来を担う青少年への放送文化啓発」(公益財団法人 放送番組センター)の3つの出前授業の中の「子供向け出前授業 アナウンサー体験教室」と「親子出前授業@テレ朝」が横浜にある放送ライブラリーで開催されました。

@アナウンサー体験教室2014(2014年7月24、25日開催)
 集まった子供たちは、各回15人。まず、テレビでお馴染のフジテレビとNHKのアナウンサーから、アナウンサーという仕事の裏側やニュースを分かりやすく伝える方法などについての説明がありました。そして、子供たちの様々な疑問にもわかりやすく回答して、緊張がほぐれたところで、発声練習や原稿読みの方法などプロの技の指導が行われました。入念な練習の後は、放送ライブラリーの「ニューススタジオ」で実際にアナウンサー役に挑戦!最後に、アナウンサーの方から、子供たち一人一人に良かった点、修正点などアドバイスがあり、2時間半にわたるイベントは終了しました。
 放送というメディアの中で、親しみの深いアナウンサーの仕事を体験することで、放送についての理解や関心を深めることができた貴重な一日になりました。

A親子出前授業@テレ朝(2014年7月29日開催)
 テレビ番組の製作は、どのようにして行われるのかを学んでもらおうという親子出前授業。今回は、放映開始から22年になる人気アニメ『クレヨンしんちゃん』が取り上げられました。会場には、37人の親子が参加し、監督のムトウユージさん、シンエイ動画プロデューサーの吉田有希さん、テレビ朝日プロデューサーの松久智治さんの3人が番組の魅力などについて解説しました。
 この中でムトウ監督は『クレヨンしんちゃん』の魅力について、「家のリビングの中だけを舞台にして、1本のアニメを作ることができる、生活に密着したアニメ」だと語り、吉田さんと松久さんは、アニメの製作には「お金、スケジュール、クオリティの管理の3つが必要で、いかにたくさんの人に見てもらえるかを考えること」が大切だと話しました。
 授業の中ではムトウ監督自ら“しんちゃんをうまく描くコツ”を実演したり、実際のアニメ映像を見ながらセリフを吹き込む“アフレコ”に挑戦したりなど、参加した親子は楽しみながら、普段親しんでいるアニメの裏側を学んでいました。

文責:事務局
・平成25年度 人文社会・文化 助成

「将来を担う青少年への放送文化啓発〜出前授業による放送体験〜」
公益財団法人 放送番組センター


助成

○時代考証学の射程(第5回時代考証学会シンポジウムより)
 時代考証学会 佐藤 宏之(鹿児島大学准教授)

 

 時代劇メディア作品―さまざまなメディア媒体を通じて社会に発信される歴史作品―は、公開後さまざまな時と場所において、さまざまな人びとに受け容れられ、かぎりなく解釈され続けていく。
 時代劇メディアは「国民の歴史」を紡ぐ重要な装置であり、学校教育などよりも、もっと巧妙に市民に向けて公的な歴史を語り、歴史意識の基礎を醸成してきたといえる。この時代劇メディアから歴史意識をとらえようとするとき、それは誰のどのような「意識」なのか、原作・脚本・プロデューサー・演出・美術・考証・指導・監修など、「作り手」の意図が重なり合い、それらの総体として時代劇メディアが完成している点に留意が必要である。
 また、時代劇メディアに対する市民の批評・感想や関心(ニーズ)の高まりは、市民がもつ歴史認識の成熟を意味していると言え、それによって作品に新たなテーマや展開を要請する場合、新たな作品の創作、市民の多様な学び、地域振興や観光資源へと展開する場合もあるだろう。

 去る11月23日、時代考証学会第5回シンポジウム「時代劇メディアが語る歴史―表象とリアリズム―」を開催し、社会における多様な「歴史を叙述する」行為、すなわち、映像(絵)・音声・文字などが組み合わされたさまざまな時代劇メディアがどのような意図で、どのような歴史叙述や歴史表象を行い、そしてその時代劇メディアを介して、受容者が知る、あるいは学ぶ歴史とはいかなるものかを検討した。
 門野早苗報告(時代考証学会)では、時代劇メディアからの影響を受けた受け手が、それぞれ関係性がある・ないにかかわらず複数いる場合、何らかの社会的な動きに発展する可能性があること、小泉隆義報告(学研教育出版図鑑・百科編集室シニアプロデューサー)では、マンガとしての面白さと事実との整合性を図り、それを不自然ではなく描くために時代考証が必要であること、岸聡光報告(NHKアート番組美術部エクゼクティブ美術デザイナー)では、間違った史実を描くことで視聴者を混乱させないように時代考証に基づき、「その時代らしさ」を表現することに努めているが、さまざまな現実的問題により、すべての考証の成果が反映されるものではないということ、宍戸開報告(俳優・写真家)では、わかりやすい時代劇づくりと歴史的なリアリティを求める時代考証の接合についての報告があった。

 当会は、平成22年度より研究助成をいただき3年目を迎えている。その成果を踏まえ、現時点において、「時代考証」とはなにか、それを定義づけるとすると、「歴史学の成果に立脚した新たな歴史情報や歴史像を提供し、歴史意識の形成に携わる」、「広く共有された、あるいは共有されている歴史意識を受けとめる」作業ということができよう。そして、こうした作業の基礎となる「時代考証学」を、最新の研究成果をふまえた「本来の史実」と番組内容との距離を評定する時代考証の虚実判定をするのではなく、「物語がなぜそのようなかたちで存在するのか」、「史実がどのような現実を作りあげているのか」を問う学問と意義づけておきたい。

・人文社会・文化 助成

平成22年度 時代考証学の構築にむけて −NHK大河ドラマと市民の歴史意識の関係構造−
平成23年度 時代考証学の構築にむけて2 −地域文化における大河ドラマの受容とその特質の解明−
平成24年度 時代考証学の構築にむけて3 −時代考証学の成果を問う−
代表 大石 学(東京学芸大学教授)


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