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「見ないで」と煽られて見たら……『※女性は見ないでください』
▶▶▶ 『日日是てれび日和』──気になる番組を読み解く週一コラム 桧山珠美
【第45回】『※女性は見ないでください』(テレビ東京・2026年6月8、15日深夜)

『※女性は見ないでください』。そんな挑発的なタイトルを掲げられたら、見ないわけにはいかない。しかも、番組内容は事前に一切明かされず、公式Xには霜降り明星せいやが出演することのみ。そうなると余計、気になってくるではないか。いったい何を隠しているのか。どうして女性に見られたくないのか……。制作者の思うツボとはわかっていてもあふれ出る好奇心には勝てず、つい見てしまった。
で、どうだったかというと、こちらの期待値が上がり過ぎていたというのもあるが、とても絶賛できるような番組ではなく、肩透かしを食らった感。それでも、いろいろと得るものはあった。
出演は、せいやのほか、見取り図盛山、ニューヨーク嶋佐。そして、お相手は3人の女性たち(吉田莉桜、谷岡美沙紀、兼清萌々香と名前は出ていたが、誰一人知らず…)。3対3の合コン形式で、男女がトークを繰り広げるなかで、女性陣の発言に気になるところがあればスイッチを押す。すると、男女の間に壁ができて、女性陣はヘッドフォンをつけられ、遮断。その間、男性たちが本音を語るという趣向だ。
たとえば、こんなふう。
盛山が「飲み会のお相手はどういう方?」という質問に、間髪入れず、「経営者、芸能人、アスリートみたいな」とイマドキ女子。せいやが「ハマってるものとかあんの?」という質問には、「人を見るのにMBTIで見ちゃうかも」と。
ここで、せいやがボタンを押す。緊急ブザーが鳴り、テーブルの間に壁が現れ、女性たちにはヘッドフォンが装着される。
そこは男性陣のみの空間になり、せいやがカメラに向かって、「何年か前から誰かが仕掛けたMBTI、何がオモロイねん!」と絶叫。そこから「MBTI、MBTIってなんですか?」「あれ、異常に好きですよね、女子」「冒険者やったら、えっ意外、って何がやねん!」と常日頃、思っていた不満をここぞとばかり言い合うのだ。
「最近、女子たちが集まって、男のあるあるや男のダメ出しする番組、ようあるじゃないですか」とせいやが言えば、「日本のバラエティ9割それよ。女性が集まって男のゲストが悪口言われる」と盛山も追随。この番組は、そういうものに反旗を翻す“男性のデトックストークバラエティ”だと番組の主旨を明かした。
その意見には少なからず共感する。たしかに『トークィーンズ』を筆頭に、その手の番組はあるにはある。さすがに9割とは大げさだが、それも男性陣の被害意識の裏返しかもしれない。男性の悪口ばかりではなく、いいことも言っているのだが、聞く耳を持たずに、一方的に悪口を言われてると思い込んでいるのだろう。それはそれとして、女性がよってたかって男性をネタにする番組はあっても、その逆がないのは不思議だった。もっとも、平和主義を標榜する私としては、攻撃型の番組は苦手なので、なるべく見ないようにしているのだが……。
なので、企画の意図は悪くはないとは思うのだが、その内容がいまいち。『鬼滅の刃』が好きと言っておきながら、主人公の竈門炭治郎の名前が出てこない女子から、「女子の8割は漫画を読めない」とか「女子はコナンの映画だけ観てる」などなど、女性に対する本音を語るというより、女性をひとくくりにした雑な一般論に終始していたからだ。それでは議論が深まることもなければ、新たな発見があるわけでもなく、ただのミソジニー(女性蔑視)ではないかと。漫画好き女子もいれば、漫画嫌いの男子もいる。ひろゆきではないが、「それはあなたの感想ですよね」と言ってやりたくなった。
そもそも、似たようなタイプの女性3人を集めれば、そういう答えが出てくるのは予想がつく。ホラン千秋やたかまつななのような論客女子を入れれば、まったく違うものになったはずだ。同じことは男性陣にも言える。たとえばここにカズレーザーのような視点の異なる存在がいれば、また違う展開になったのではないか、と。
「女子は頭が悪い」と言った趣旨の発言もあったが、医大入試で女子受験生の得点が不当に調整されていた問題が示したように、むしろ、女性の学力や能力の高さが前提となっていたケースすらあるのだから。
翌週15日も、また別のメンバーでやっていたが、概ね、同じような内容だった。
番組の終わりに、なぜかコウメ太夫が出てきて、面白くもなんともないネタを披露する。それを総括とすることで、この番組はそんなに深く考えるものではないですよ、と予防線を張っているつもりかもしれない。
けれども、男女の価値観の違い、コミュニケーションのすれ違い、恋愛観や結婚観の変化など、互いに口にしづらい本音を入り口に、現代の男女を取り巻く空気を浮かび上がらせることもできたはずだ。挑発的なタイトルも、トークの途中で男女を遮断し、本音を言う仕掛けそのものも悪くなかった。それだけに、空回りしたような中身がもったいなかった。
テレ東の深夜は挑戦的な番組も多く、この番組も一部ではモキュメンタリーではないか、と言われている。今となってはそうであって欲しい、とすら思う。
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プロフィール

桧山珠美(ひやま たまみ)
HBF MAGAZINEでは、気になるテレビ番組を独自の視点で読み解く連載『日日是てれび日和』を執筆中。
編集プロダクション、出版社勤務を経て、フリーライターに。
新聞、週刊誌、WEBなどにテレビコラムを執筆。
日刊ゲンダイ「桧山珠美 あれもこれも言わせて」、読売新聞夕刊「エンタ月評」など。
“HBF CROSS”は、メディアに関わる人も、支える人も、楽しむ人も訪れる場所。放送や配信の現場、制作者のまなざし、未来のメディア文化へのヒントまで──コラム、インタビュー、レポートを通じて、さまざまな視点からメディアの「今」と「これから」に向き合います。
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