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調味料は「ヒヨコの足湯」くらい|『滝沢カレン&和田明日香のフィーリンきっちん』
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【第40回】『滝沢カレン&和田明日香のフィーリンきっちん』(TBSテレビ・2026年5月11日放送)

この春スタートした『滝沢カレン&和田明日香のフィーリンきっちん』。月~金の朝に放送される料理番組だ。そのタイトルから、滝沢カレンと和田明日香が2人で料理をする番組なのかと思っていたら、そうではなく、別々に週替わりでMCを担当するというこれまでにはなかったスタイルだ。それぞれにキャラクターが異なるので、同じ番組でありながら、週によって色合いが異なるところが斬新でユニーク。まさに“一粒で二度おいしい”番組といえるだろう。
週ごとに決まる“テーマ食材”とゲストの冷蔵庫の中身から発想する、新しい“フィーリング”料理番組。2人のMCのほか、こちらも週替わりで、アシスタントとゲストが参加する。ほぼ初対面の3人が、初日、2日目、3日目……と回を重ねるごとに親密さを増していくところも見どころのひとつだろう。“同じ釜の飯を食う”という言葉もあるが、3人で協力し合いながら作り、出来上がった料理を食べるという行為はそれだけで一体感を生む。組み合わせの妙というか、毎週、表情が異なるので、そこも楽しく見ている。
これまでに登場したゲストは、ドラマに出演していたり、舞台の告知があったりとなんらかの宣伝がらみが多いが、そのおかげで、中沢元紀や山時聡真という旬の俳優のキャスティングが可能となるのなら、それもまた良し。意外にも“料理男子”だったりして、普段自炊することも多いなどと聞くと、好感度も上がったり……。人柄が垣間見えるところも嬉しい。
先週の和田明日香の回では、ゲストの河合郁人が、「俺、世界一おいしいと思ってるごはんが母親のごはんなんで」と切り出し、一番好きなのが「母親の作った雑煮」で、「だから、これ作れる人じゃないと、僕、結婚できないです」と発言。すると、そこまでは「いい子……」とにこやかに話を訊いていた和田が、「なんで? 河合さんが作るんでしょ。何、作ってもらおうとしてんの。全然、自分で作るでしょ」とピシャリ。その圧に河合も「はい、僕、自分で作ります」と。さらに、「だって、奥さんは奥さんが食べてきた雑煮の味があるんだから、俺に寄せろっていうのは……よくないんじゃないですか」と和田の発言に、河合も「確かに。僕もよくないと思います」と反省してみせた。
このやりとりを微笑ましく見ていたら、なんとSNSでプチ炎上。「よくぞ言ってくれた」「雑煮ぐらい作ってあげれば?」とちょっとした「おふくろの味」論争に。たかが雑煮、されど雑煮。ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBSテレビ)が支持されるのもむべなるかな。河合は少々気の毒だが、世の中のリアルが垣間見える一件だった。
そして、今週。滝沢カレン担当回で、テーマ食材は“アスパラガス”。アシスタントは松井ケムリ(令和ロマン)で、ゲストは舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演中の平岡祐太という座組だ。滝沢カレンの一番の特徴は、独特な日本語づかいのセンス。たとえば、この日の放送では、アスパラガスの下ごしらえで、根元を切る幅を訊かれ、「この幅は~、大好きな人の第2ボタンくらい」と言い、さらに、ピーラーで皮を剥くのも「足元だけを下整えていただいて」と。切る長さも「誕生日ケーキのあのろうそくぐらい」と独特な表現を。アンチョビを刻むのも、どれくらい刻みますか? と訊かれて、「見てられないくらい」と。最初の頃、調味料の分量を表すのに「ヒヨコの足湯くらい」と表現したのには驚いたが、いまでは、次はなんて言うのかが楽しみになってきた。
これまで、平野レミが最強だと思っていたが、こんなに楽しい料理番組に出会えるなんて……。この春、料理番組に新しい風が吹いた。
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プロフィール

桧山珠美(ひやま たまみ)
HBF MAGAZINEでは、気になるテレビ番組を独自の視点で読み解く連載『日日是てれび日和』を執筆中。
編集プロダクション、出版社勤務を経て、フリーライターに。
新聞、週刊誌、WEBなどにテレビコラムを執筆。
日刊ゲンダイ「桧山珠美 あれもこれも言わせて」、読売新聞夕刊「エンタ月評」など。
“HBF CROSS”は、メディアに関わる人も、支える人も、楽しむ人も訪れる場所。放送や配信の現場、制作者のまなざし、未来のメディア文化へのヒントまで──コラム、インタビュー、レポートを通じて、さまざまな視点からメディアの「今」と「これから」に向き合います。
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