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マツコ2か月の不在が証明したもの|『5時に夢中!』
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【第36回】『5時に夢中!』(TOKYO MX・2026年4月13日放送)

マツコ・デラックスがテレビに帰ってきた。
13日の放送『5時に夢中!』。マツコの姿が映った時、心底ほっとした。正直、ここ数か月は毎週月曜の5時にこの番組を見て、マツコが現れるかどうかをチェックするのが習慣になっていたほど。多くの視聴者も私と同じようにマツコの帰りを今か今かと待ち侘びていたのではないだろうか。
マツコの入院がわかったのは、約2か月前のこと。首の脊髄が圧迫され、手術・入院したと、本人が生電話で報告したのだった。その時もこの『5時に夢中!』だった。
今でこそ、日本の芸能界を代表する存在のマツコだが、その原点はこの番組にある。ここからマツコの快進撃が始まり、売れっ子となった現在もずっとレギュラーを続けている。その姿勢は、いかにもマツコらしい義理堅さを感じさせる。
いってみれば、『5時夢』はマツコにとってのホームだ。時にスタッフに対してキツいあたりをみせることもあるが、それすら愛情の裏返しとして好意的にとられるのは、番組とマツコの間にある信頼関係と、マツコの『5時夢』愛を視聴者もよく知っているからだろう。
そんなマツコ、久々のテレビ出演ということもあり、照れ隠しなのかどうかわからないが、やたらと「働きたくない」を連発していた。
「ほんとに、もうね。私、“FIRE(ファイヤー)”できるんですよ。もう労働意欲が湧かなくて…。今日も1時間前までバックレてやろうと思ってて。ごめんなさい、本当に働きたくないんですけど…」などと言い出す始末。これまで働きづめだった反動なのか、『5時夢』視聴者への甘えか。
ちなみに“FIRE(ファイヤー)”とは「Financial Independence, Retire Early」の略。経済的自立と早期退職を目標とするライフスタイルのことだ。マツコがどこでそんな言葉を覚えてきたのかわからないが、休養中にその手の情報を収集し、自身の“来し方行く末”を考えていたとしても不思議ではない。
現在、マツコのレギュラーは『5時夢』を含めて、『マツコの知らない世界』『月曜から夜ふかし』『マツコ&有吉 かりそめ天国』『週刊さんまとマツコ』と週5本ある。いずれも人気番組だが、この2か月間はいずれも入院前に収録したものや、過去に放送した番組の再編集や総集編などでマツコの不在を凌ぎ、その帰りを待っていた。さすがにここ数週間はストックが無くなってきたのか、『夜ふかし』は村上信五がひとりでMCをつとめ、『かりそめ』などは、大久保佳代子、タイムマシーン3号の関と山本、3人をマツコの代役に立てた。それほどマツコの穴は大きいということを表していた。
この2か月の不在が証明したのは、ただひとつ。マツコの代わりはいないということ。だからこそ冗談でも「辞める」などとは言って欲しくない。
そんなテレビに愛され、テレビを愛してきたマツコだが、今年、Netflixとタッグを組み、新番組「ブラックオークション ~禁断の入札~」をやることはすでに報じられている。世界配信されるわけだが、そうなると、マツコ・デラックスが世界に見つかってしまうかもしれない。それは少し楽しみなような怖いような……。
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プロフィール

桧山珠美(ひやま たまみ)
HBF MAGAZINEでは、気になるテレビ番組を独自の視点で読み解く連載『日日是てれび日和』を執筆中。
編集プロダクション、出版社勤務を経て、フリーライターに。
新聞、週刊誌、WEBなどにテレビコラムを執筆。
日刊ゲンダイ「桧山珠美 あれもこれも言わせて」、読売新聞夕刊「エンタ月評」など。
“HBF CROSS”は、メディアに関わる人も、支える人も、楽しむ人も訪れる場所。放送や配信の現場、制作者のまなざし、未来のメディア文化へのヒントまで──コラム、インタビュー、レポートを通じて、さまざまな視点からメディアの「今」と「これから」に向き合います。
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