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スタジオセットに宿る新番組の意気込み|『週刊フジテレビ批評』
▶▶▶ 『日日是てれび日和』──気になる番組を読み解く週一コラム 桧山珠美
【第38回】『週刊フジテレビ批評』(フジテレビ・2026年4月25日放送)

NHK『どーも、NHK』、日本テレビ『日テレアップDate!』、テレビ朝日『はい!テレビ朝日です』、TBS『TBSレビュー』、フジテレビ『週刊フジテレビ批評』……というように、各局、視聴者と局を繋ぐ広報・自己検証番組がある。
なかでも、特集の切り口に工夫がみられ、見どころが多いのが、フジテレビの『週刊フジテレビ批評』だ。MCは歴代自局のアナウンサーが務め、現在は、渡辺和洋アナと斉藤舞子アナが担当している。
この日の特集も見応えがあった。4月に始まった新番組のスタジオセットに光を当て、そのこだわりと狙いに迫ることで、普段は意識されにくい“背景”が番組を支える重要な要素であることを浮かび上がらせるものだった。
スタジオゲストはフジテレビ美術制作部の鈴木賢太氏。『週刊フジテレビ批評』のセットも手掛け、初代から現在の3代目までの変遷と、その思い入れを語った。以前から、この番組のセットには興味があった。というのも、スタジオを彩るカラフルな輪のモチーフが、時折、風に揺れるようにも見え、デジタル処理ではなさそうだが、どうなっているのか、と。正体はアクリルで作られた輪っかだった。その数、実に1761個。
歴代セットのコンセプトは“カラーバー”。初代は四角形で、2代目が球体、そして、現在の3代目は、輪っかの明度を上げ、サイズを小さくすることで、奥行きを生み出している。言われてみれば確かに、以前より、空間に軽やかさが増し、全体の印象も明るくPOPになった気がする。
続いて、新番組のセットに。まずは、日曜朝7時放送の『SUNDAYブレイク.』。美術制作部の小濱まほろ氏によるデザインで、タイルを基調にしたセットは、「爽やかな朝」を演出する。カフェテラスの内側に演者がいるような空間を意識し、演者の背後には、大型LEDモニターを配置し、CG映像による海の風景を映す。演者とモニターの間に透明なアクリル板を嵌め込むことで、“窓”の質感をほどこす。驚いたのは、時間の経過とともに、海の色が変化する仕掛け。これは番組を見ていて気付かなかった。
もうひとつは毎週木曜19時から放送の歌番組『STAR』。フジのゴールデンに10年ぶりに音楽番組が復活、入社3年目の上垣皓太朗アナがMCに抜擢されたことでも話題だ。こちらの番組のデザインも鈴木氏が担当。生放送なので、どこを撮っても絵になるように心掛けたという。Aセット、Bセットのほか、スタジオの両側にある鉄骨を使った2階建てのセットが目を引く。本来、建てたりバラしたりが大変な鉄骨は、テレビのセットではあまり使われないが、車輪をつけることでセットごと移動できるようにし、短時間で少ない人数でも建てられる仕様にしたそう。世界観を構築するだけでなく、コストやスタッフの動きなど制作効率まで視野に入れた設計に感服する。
鈴木氏がデザインしたセットはもうひとつ。火曜夜19時からの生放送『超調査チューズデイ~気になる答え今夜出します~』だ。MCはカズレーザー(メイプル超合金)とニューヨーク(嶋佐和也、屋敷裕政)。カズレーザーといえば“赤”。その“赤”とニューヨークの洗練された感じを表現した“白”と“金”がテーマカラー。セットに配された置物は、予算80万円で美術スタッフが集めたもの。鈴木氏の手書きの指示書にはイラストとともに、「研究・リサーチ・謎・ミステリー……情報・基地・探偵・スパイ」「面白かっこよく」などと、番組のコンセプトを表すような言葉が並び、その指示書から発想の広がりが伝わってくるようだ。
視点を“セット”に向けるだけで、番組の印象はぐっと変わる。そこには多くの人たちの工夫や思いが折り重なっている。そんなことも意識して見れば、テレビの面白さももう一段、深みを増すのではないか。
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プロフィール

桧山珠美(ひやま たまみ)
HBF MAGAZINEでは、気になるテレビ番組を独自の視点で読み解く連載『日日是てれび日和』を執筆中。
編集プロダクション、出版社勤務を経て、フリーライターに。
新聞、週刊誌、WEBなどにテレビコラムを執筆。
日刊ゲンダイ「桧山珠美 あれもこれも言わせて」、読売新聞夕刊「エンタ月評」など。
“HBF CROSS”は、メディアに関わる人も、支える人も、楽しむ人も訪れる場所。放送や配信の現場、制作者のまなざし、未来のメディア文化へのヒントまで──コラム、インタビュー、レポートを通じて、さまざまな視点からメディアの「今」と「これから」に向き合います。
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