第50回

ドキュメンタリー部門

奨励賞

受賞者

NHK広島放送局

作品名

NHKスペシャル  原子爆弾秘録~謎の商人とウラン争奪戦~

概要

78年前、広島・長崎に投下され、その年だけで20万を超えるといわれる尊い命を奪った原子爆弾。その開発に重要な役割を果たした“謎の商人”がいる。原爆の原料となるウランをアフリカから密かにアメリカに運び込んだ人物。今回、彼が残した3万ページに及ぶ未公開資料が見つかった。そこに記されていたのは、会社の利益のために奔走した男が、はからずも世界を大きく変えてしまった事実、そして、巨大な力を求める国家の欲望が暴走していく様だった。今につながる“核の時代”はどのようにして始まったのか、原爆開発の知られざる真実に迫る。

選考理由

原爆の原料となるウランは、誰がいかにして調達したのか。アメリカ政府の要請によってウランを大量に調達し、またその後の独占を許したのは、サンジエという名のベルギーの商人だった。彼はその後の世界を変えた人物として、オッペンハイマーと並び、記憶されるべきだろう。知られざる事実を、意外な側面からあぶり出した作品。

受賞の言葉

広島で14万、長崎で7万とも言われる命を無差別に奪った原子爆弾。番組は、その原料となった高純度ウランを扱ったひとりの商人に焦点を当てました。残された資料や関係者の取材から感じたのは、「死の商人」としてだけでは割り切れない複雑性です。家族を守るため、会社を大きくするために奔走したビジネスパーソンとしての側面。その欲望が、「強大な力を有する」という国家の欲望に利用されていった側面。そして、その結果生み出された膨大な犠牲―こうした事実は、今も世界各地で続く戦争の影で、利益を得ようとしている人たちがいること、いつだって人類はその過ちを繰り返す可能性があることを私たちに訴えかけているように思います。

NHK広島放送局 宮島優

スタッフ

ディレクター 宮島優、大小田紗和子
撮影 山本泰正
音声 落原徹(VOZ)
照明 岡村清(エス・エム・シー)
編集 延吉映輝
音響効果 定本正治
プロデューサー 三隅吾朗
制作統括 松木秀文
語り 池松壮亮
声の出演 松尾スズキ

ドキュメンタリー部門のその他の受賞

このプロジェクトに関連した記事を見る

過去の受賞履歴

過去5年の受賞記録はこちら

受賞ギャラリー

過去の全受賞記録はこちら

過去の受賞データベース

放送文化基金賞の関連記事

放送文化基金賞の関連記事です。
表彰式やそのレポート記事などをお届けします。

私たちについて

詳しく見る

財団情報

詳しく見る