第50回

ドキュメンタリー部門

奨励賞

受賞者

NHK沖縄放送局

作品名

BS1スペシャル “戦い、そして、死んでいく” ~沖縄戦 発掘された米軍録音記録~

概要

米議会図書館に所蔵された「海兵隊戦闘記録」。兵士の声をラジオでアメリカ国民に届ける目的で収録された音源だ。最前線の戦況、激しい戦闘の直後の兵士の声…浮かび上がるのは、日本軍のゲリラ戦に翻弄され、軍民混在の戦場で神経をすり減らしていく様子。そして、兵士たちは「狂気」に身をゆだねてゆく。20万人以上の命が失われた沖縄戦。音源に加え、元兵士の消息を追い、“地獄”と呼ばれた戦場を「音」から再構築していく。

選考理由

米軍が、ラジオDJなどを派遣して戦闘の実況を中継し、兵士の声を本国に届けていた音声史料が見つかった。集団自決を目撃した米軍兵士の話など、日本軍が民間人を巻き込んで持久戦を強いたがために、民間人の犠牲を大きくしたことなどが、生々しい音声から充分に伝わってくる。またその声が若いことも、戦争の悲惨さを伝えてくれる。

受賞の言葉

太平洋戦争の映像は数多くありますが、戦場で録音した音声がこれほど大量に残っていることに驚きました。当時、映像と音声の収録機材は別々。カメラで撮影できる映像は1カット十数秒でしたが、音声は分単位で録音することができたため、期せずして兵士たちの生々しいやり取りがそのまま刻まれていました。その声は、兵士一人ひとりの感情を浮かび上がらせ、私たちを80年前の戦場に連れていってくれます。
遠ざかる戦場の記憶をいかに伝え続けるか。特に、沖縄戦の実相を全国の人々の心に届けることは、ますます困難になっていると感じます。つらい体験をお話くださった100歳前後の元アメリカ兵の方々、沖縄の方々に心から感謝申し上げます。

NHK沖縄放送局 三宅佑治

スタッフ

語り 髙橋美鈴
撮影 佐々倉大
音声・照明 益田雅也
音響効果 佐々木隆夫
編集 西谷和家
リサーチャー 柳原緑
ディレクター 三宅佑治、小林宏太郎
制作統括 生田寛、小池幸太郎

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