第49回
ドキュメンタリー部門
最優秀賞
受賞者
北海道放送
作品名
性別は誰が決めるか ~「心の生」をみつめて~
概要
きみちゃんは身体が女性で、心が男性のトランスジェンダー男性。パートナーであるちかさんは、身体も心も男性。2人は“心が男性どうし”のカップルだ。心が男性のきみちゃんのおなかには、2人の新しい命が宿っている。きみちゃんはかつて、男性として生きていくため性別適合手術を受けようとした。戸籍の性別変更には、生殖腺(精巣や卵巣)がないことが条件だからだ。しかしちかさんと出会い、子どもを持つ将来を描くようになり、手術をやめて戸籍を女性のままにした。日本では戸籍の性別を変えるために、「子どもを持つこと」を諦めなくてはいけない。トランスジェンダー男性の崇来人さんは、性別変更のために身体への負担が大きい手術を受ける必要はないと訴えてきた。一方でトランスジェンダー女性のありすさんは、周囲に支えられながら手術を受ける選択をした。生き方や考え方には、グラデーションがある。「性別」とは何か、誰が決めるのか。
選考理由
ある妊娠したトランスジェンダーの男性は、「性同一性障害特例法」によって性別変更ができないでいる。戸籍の性別変更には生殖腺(精巣や卵巣)がないことが条件と決められているからである。LGBTQへの理解も深まりつつある現在、「性同一性障害特例法」だけは、性と体を無理やり一致させることを条件としている。多様性と言いながら、社会の無理解と差別は、法の中に存在している。
本番組は被取材者との信頼関係を築いたことによって、プライバシーにも触れる綿密な取材を可能にし、大きな問題提起ができた。
受賞の言葉
「実は赤ちゃんができました」この報告を受けたのは、いまから2年前の夏でした。LGBTQという言葉が取り上げられ認識は広がっている中でも、いまだに差別や偏見は後を絶ちません。自身のセクシャリティを公表するには勇気を必要とする中で、自身の「性」や「妊娠」というデリケートな事柄について語ってくれたきみちゃん、そして取材を受けてくださった全ての方たちに頭が下がる思いです。取材をしている中で、私は何度も「彼らは(自分と)違わない」と感じました。誰しもが持ちうる、「自分らしく生きたい」「誰かと生きていきたい」という思い。ご覧いただいた多くの方たちに1つでも、「共通点」を見つけていただけたらと思います。
北海道放送 泉優紀子
チーム
プロデューサー 山﨑裕侍
ディレクター 泉優紀子
編集 四倉悠策(HBCフレックス)
撮影 蓮本宗徳(HBCフレックス)、滝ヶ平国彦(HBCフレックス)
ナレーション 世永聖奈
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