第49回

ドキュメンタリー部門

奨励賞

受賞者

高知放送

作品名

にっこり笑って ~山あいの写真館 10年の物語~

概要

高知県大豊町で唯一の写真館を営む中西三男さん(74)。2008年から集落を回り、お年寄りたちの笑顔の遺影を撮影している。中西さんが訪問先で冗談をまじえながら撮影を進めると、お年寄りたちの顔がほころんでいく。撮影のきっかけは、自分の父親が亡くなった時、優しかった面影を遺すことができなかったから。その後悔を胸に約700人を撮影してきた。
集落を回るもう一つの理由、それはお年寄りたちに生きている間も笑顔で過ごしてもらいたいからだ。遺影を写した一人、吉川菊恵さん(96)。中西さんは菊恵さんが四男を不慮の事故で亡くした後も寄り添い続けた。やがて菊恵さんは認知症になり、最期の時が訪れた。

選考理由

大豊町の写真館の主、中西さんは10年以上前から集落を回って、老人たちの遺影を撮影してきた。番組は、中西さんと老人たちとの交流を見つめながら、過疎化、高齢化する集落の姿、そしてそこに暮らす人々のささやかな幸せを描いていて、ほのぼの温かい。

受賞の言葉

人生の締めくくりを飾る写真、遺影。「ブロマイドみたいなもんやから、その人らしい笑顔を遺してあげたいねえ」と中西さん。写す側と写される側にどんなドラマがあるのかを知りたいと思い、取材が始まりました。
集落を巡ると過疎高齢化の厳しい現実を目の当たりにします。取材したお年寄りが数年後には亡くなり、空き家になった例は少なくありません。人と人とのつながりが薄れるなか、だからこそ中西さんが遺影を届けた後もお年寄りに寄り添い続けていることを知った時、そのつながりをしっかり見届けたいと思いました。10年にわたり記録できたのは地方局の強みであり、使命でもあると感じています。受賞を励みに今後も地域に根差し、地方の課題を描き出したいと思います。
高知放送 中嶋淳介

スタッフ

ディレクター 中嶋淳介、田中正史
撮影・編集 西山徹(フリー)
ナレーション 有吉都
プロデューサー 植村浩史
出演 中西三男、吉川菊恵、北窪正光

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