第48回
ドキュメンタリー部門
優秀賞
受賞者
グループ現代、NHKエンタープライズ、NHK
作品名
ETV特集「“玉砕”の島を生きて~テニアン島 日本人移民の記録~」
概要
第一次大戦後、日本の委任統治領となった旧南洋群島(ミクロネシア)、テニアン島。大正末期、南洋興発株式会社がサトウキビ栽培のため開拓、移民を送り込み、1万人を超える日本人が生活していた島は、1944年夏、日米の決戦場に。追い詰められた住民たちの中には「生きて虜囚の辱めを受けず」という軍の命令が浸透しており、日本軍の「玉砕」後、次々と集団自決をはかる。福島県出身の小檜山一家も渦中にあった。肉親や親友を手にかけた重い記憶を背負ったまま、戦後を生き抜いた人たちの、遺言ともいうべき、貴重な証言をもとに極限の戦場を描く。
受賞理由
原爆を搭載したエノラ・ゲイが飛び立ったテニアン島。が、玉砕したはずのこの島に、たくさんの日本人が生き残っていた。女性ディレクターがその家族に寄り添い、集団自決を迫られた住民の悲劇を聞き出す。淡々と語る老女の姿に、二度とこういう悲劇を起こしてはならない、という女性ディレクターの執念が感じられる。
受賞の言葉
1994年、初めてサイパンを訪れ、「玉砕」しなかった人たちに会って以来、旧南洋群島での暮らしや戦場の証言を記録することが、ずっと私のライフワークとしてありました。2005年、NNNドキュメントでテニアン島の集団自決を描いた、『俺は母ちゃんを殺した』に続き、ようやく二作目を世に出すことが出来ました。
沖縄戦の一年前にあった住民を巻き込んだ地上戦、集団自決の記憶はあまりに惨く、多くの人たちがずっと口をつぐんできました。それほどに悲惨な戦争に巻き込まれる民間人が、いまこの世界にいるということに、体験者の皆さんは本当に心を痛めています。つらい思いを抑えて語ってくださった方々の証言が、二度と戦争を起こさない、という現実の力となり、活かされていくことを切に望みます。
グループ現代 太田直子
スタッフ
演出・撮影・ナレーション 太田直子(グループ現代)
撮影 家塚信、
編集 井上秀明(イマージュ)
音響効果 井田栄司(TBSアクト)
イラストCG 福島あんず(moi)
制作統括 東野真(NHK)、太田宏一(NHKエンタープライズ)、田野稔(グループ現代)
出演 小檜山ミサ、高松藤子、小檜山昇、久保ミエ、有元盛男、二瓶寅吉
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