第51回

ドキュメンタリー部門

最優秀賞

受賞者

NHK

作品名

NHKスペシャル 調査報道・新世紀 File3 子どもを狙う盗撮・児童ポルノの闇(前編・後編)

概要

連日のように報道される大人たちによる子どもへの性加害や盗撮事件は氷山の一角にすぎないのではないか。取材班はネットパトロールを行う母親らの市民団体と手を組み、SNS上に広がる「盗撮コミュニティー」に潜入取材。盗撮を止められないという愛好家や教え子を盗撮し逮捕された大手学習塾の元講師らへの取材からは、仲間同士の結びつきがより悪質な犯罪へとエスカレートさせている実態が浮かび上がってきた。後編では性交や自慰を強いられる日本の子どもたちの動画をアプリで売買している「児童ポルノビジネス」の実態を追跡。2年前からこの問題を取材してきた外部メディアとの共同取材によって深い闇をあぶり出す。2週にわたる調査報道が突きつけるのは子どもたちが日常的な生活空間で犠牲になっている重い現実だ。番組は有効な手を打てずにいる巨大プラットフォーム企業の責任を問うとともに、政治・行政による踏み込んだ対策の必要性を訴える。

選考理由

子どもの盗撮動画や児童ポルノが、ネット上で商品となって売り買いされている現実がある。本作は、その温床となっているアプリのプラットフォームの解明と、「盗撮コミュニティー」の告発の過程を追った優れたドキュメンタリーである。
盗撮された画像や、自撮りの性的画像を送ってしまった場合など、画像はネットに拡散され、その被害を止めることは不可能だ。被害者となった子どもの深刻な人権侵害だということがきちんと認識されていない。
盗撮画像の投稿、そして商品化という流れを、取材班は「ひいらぎネット」「Tansa」というふたつの民間調査機関と連携して、地道で緻密な調査と告発を行った。民間との連携も、新しい調査報道の手法であると評価された。

受賞の言葉

NHKは2019年から「性暴力を考える」というサイトで被害に遭った方やご家族などから寄せられた多くの声を記事や番組で発信し続けてきました。今回は、子どもへの性暴力に問題意識を持ったメンバーが集まり、加害者側に注目しその実態に迫りました。SNS上には目を覆いたくなる現実が蔓延し、無力感に苛まれましたが、ひいらぎネットやTansaなど様々な方の協力と私たちの怒りを原動力に取材を進めました。しかし今も、子どもを性的に搾取する人々、ビジネス、それを許容するような価値観、法の不備など、早急に取り組まなければ手遅れになる課題が山積しています。被害も加害も生まない社会に近づくために何ができるのか、これからも取材を続けます。
番組ディレクター 宣英理 大間千奈美 村山世奈 二階堂はるか

スタッフ

語り 八田知大
撮影 横山真也
照明 角井俊亮
映像デザイン 橋本麻江
CG制作 潮崎恭平
音響効果 東谷尚
共同取材 Tansa
取材協力 ひいらぎネット
リサーチャー 神宮寺愛
コーディネーター Scott Filipski
編集 加藤洋一、山形健一
取材 福田陽平
ディレクター 宣英理、大間千奈美、村山世奈、二階堂はるか
プロデューサー 善家賢
制作統括 植松由登、蔵重龍、木下義浩

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