第51回

ドキュメンタリー部門

奨励賞

受賞者

熊本朝日放送

作品名

いのち つないで

概要

親が育てられない子どもを匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご」開設から14年、熊本市の慈恵病院は国内初の「内密出産」を2021年の年の瀬に実施したと公表した。危険な孤立出産や乳児の遺棄を防ぐことを目的に、予期しない妊娠を周囲に明かせない女性が病院以外には身元を明かさず出産できる仕組みだが、国内では法制化されていない。事例は積み上がり、病院は費用の全額を負担しながら綱渡りの運用を続けている。内密出産を頼る女性の背景には何があるのか。1人の当事者が語ったこととは。内密出産の2年4カ月を追った。

選考理由

赤ちゃんポストで有名な熊本慈恵病院は、妊娠や出産を周囲に知られたくないと強く願う女性に、匿名性を保証する内密出産も行っている。
内密出産の目的は、何よりも母子共に危険な孤立出産を避けることにある、と語る院長の言葉は賛否両論あるなかで強く重い。
女性だけに出産のリスクを負わせてはならないと強く思わされる。

受賞の言葉

慈恵病院には予期しない妊娠に悩み、追い詰められた女性たちからのSOSが絶えず寄せられています。約50人の女性がこれまでに内密出産をしました。しかしその一方で、幼い命が奪われてしまう事件は現在も後を絶ちません。慈恵病院の取り組みには賛否両論ありますが、いま目の前にある命を「制度がないから」という理由で見放してよいものでしょうか。孤立した女性たちを「無責任だ」と責め続けるだけではこの問題は解決できません。社会全体が向き合っていかなければならないテーマであり、少しでも多くの方にそのことを考えていただければ幸いです。取材に応じてくださった方々に改めて感謝を申し上げます。
熊本朝日放送 大野健太郎

スタッフ

ディレクター 大野健太郎
撮影・編集 森本龍(放送技術社)
プロデューサー 土屋孝博
統括 矢島誠、筒井孝彦
音響効果 番匠祐司(TSP)
MA 出水菜々(TSP)
ナレーション サヘル・ローズ

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