芸大生の桜木杏は、友達がいない。日々のささやかな楽しみは、近所の掲示板に貼られている“言葉”をめでることと、匿名でラップのリリック〈歌詞〉を作ること。ある日、何気なく口ずさんだリリックをきっかけに、広告代理店のコピーライター・連城昴に声を掛けられる。俳人でもある昴は、“俳句とラップ”をテーマにした突飛な企画を上司に任され、頭を抱えていた。藁にもすがる思いの昴は杏をうまく丸め込み、手伝ってもらうことに。俳句は知らないし、人間関係も不安だった杏。だが、初めて参加した句会で、俳句の世界に惹かれていく。そんな中、代理店での打ち合わせに参加した杏は、思わぬ人物に遭遇し……。

コミュニケーションが苦手で引きこもりがちな若者が多い今日に、自分の言葉で語ることの大切さを伝える作品として高く評価された。広瀬すずの演技もすばらしく、言葉の深い世界に触れることで自分を見出すことのできるすばらしさを伝えた。

本作は昨年の緊急事態宣言下で立ち上げました。これまでの対話ができない中、試行錯誤する人の姿を多く目の当たりにし、どんな状況でも人は人に何かを伝えようとする創意工夫を諦めないのだと強く感じました。そんな時だからこそ、感じたことや届けたいことを“言葉”で形にしようと模索する人たちの物語を作る意味があると思いました。
人と出会い、それぞれが見ている景色を交換する中で広がる世界を、広瀬すずさん・宮沢氷魚さんをはじめとする俳優陣がみずみずしく表現くださいました。監督スタッフキャスト全員がアイディアを持ち寄り、見た人が優しい気持ちになれたらと願って作り上げた作品がこのような賞を頂くことができ、大変光栄です。
WOWOW　植田春菜

原作　堀本裕樹
脚本　荒井修子
監督　文晟豪
音楽　Akiyoshi Yasuda（★STAR GUiTAR）
プロデューサー　植田春菜、中川裕規、石原仁美
スーパーバイザー　井上衛
助監督　八神隆治
撮影　宮本亘
出演　広瀬すず、宮沢氷魚、毎熊克哉、安藤ニコ、荒川良々、桂雀々、板橋駿谷、ふせえり、田辺誠一、夏川結衣　ほか