助成
ラジオ制作者と関係者が集結!「ラジオセミナー2026」
株式会社玄石 プロデューサー/ディレクター 竹内梨紗

ラジオ・音声メディアが大きな転換期を迎える中、ラジオの作り手と受け手が直接対話できる場所を作りたい、という想いから生まれたイベント「ラジオセミナー」。放送局で活躍するプロデューサー・ディレクター、人気コンテンツの制作者が登壇し、多くのラジオ関係者、ラジオリスナーが集まりました。配信なし・アーカイブなしだからこそ生まれた、本音の対話と新たなつながり。このセミナーを株式会社玄石の代表・石井玄さんとともにプロデュースされた竹内梨紗さんに、セミナーの舞台裏について寄稿していただきました。
ラジオ業界の“学びとつながり”を生み出すために
ラジオが流行っているという言説は、ここ数年度々耳にするようになりました。確かに一時期より話題にのぼる機会は増えましたが、実際の現場は制作費不足、人員削減、業務過多というネガティブな循環が起こる厳しい状況です。このような現状を危惧し、株式会社TwoGateと弊社株式会社玄石は、2024年「ラジオメディア」というアプリを立ち上げました。ラジオ業界に関わる様々な人のインタビュー記事やニュースの発信、ユーザー同士のコミュニケーションの機会を提供し、ラジオ業界全体の情報と学びの場となることを目指しています。



📻ラジオ・音声業界特化型アプリ「ラジオメディア」について
(PR TIMESのサイトにリンクします。アプリの説明・ダウンロードができます)
立ち上げから1年以上が経過した今、アプリ内でつくられたつながりを可視化し、持続可能な業界にするための情報共有とネットワーキングの機会として、放送文化基金の助成をいただき、2026年4月にセミナーを開催いたしました。ラジオに関わる全員に届いてほしいという思いから、思い切って「ラジオセミナー2026」というストレートなタイトルをつけました。
“ラジオの今”を多角的に語る多彩なゲスト

「ラジオセミナー2026」は計9名が登壇する4部構成で、全体の進行は株式会社玄石・代表の石井玄が務めました。各セッションは、第1部「音声メディアのマネタイズ方法とは」(内田浩之さん×神吉将也さん)、第2部「ラジオ最強番組制作術」(橋本吉史さん×三浪瞭さん×西畑風雅さん)、第3部「アナウンサーが地方局を盛り上げるには」(福島暢啓さん×森谷佳奈さん)、第4部「ラジオ絶対生存論」(田中渓さん×大島育宙さん)です。業界の課題に多角的にアプローチするテーマを設定し、それぞれのテーマにフィットする、ラジオ業界で大活躍中の旬なゲストの方々をお呼びすることができました。

どのパートにおいても、ラジオ業界の困難な状況を受け入れたうえで、それでもラジオが好きだから続けていきたいという想いのもと、どのように行動すれば改善の糸口が見つかるかにフォーカスした、とても建設的なお話をしていただきました。セッションの内容は、一部「ラジオメディア」アプリ内で記事化予定です。ぜひそちらもご覧ください。

第4部のあとにはコミュニケーションやネットワーキングの場として立食形式の懇親会を設け、一般(3,300円)、懇親会付き(7,700円)、25歳以下限定のU25(1,000円)の3種類のチケットを用意しました。
都内の会場を終日おさえるとなると、いただいた助成金だけでの運営は難しく、チケット販売を行う結果とはなりましたが、助成いただいたことで実現できた重要な要素が大きく2つありました。
1点目は、首都圏以外からの登壇者です。広くラジオ業界を映し、少しでも多くの方に自分事としてとらえていただける内容にするには、地方局からのご登壇者が不可欠でした。遠方からのご登壇はコスト面がハードルとなりますが、助成金のおかげで9名中5名の登壇者が地方局員という比率でのオファーが実現でき、皆様に多大なお時間を割いて東京の会場までお越しくださったことで、エリアの垣根を超えた貴重な対談となりました。また、地方局の第一線にいる登壇者にお集まりいただいたことで、参加者の方も、北海道から鹿児島まで多くの方に地方からお越しいただきました。


2点目は、チケットの価格です。ラジオの持続可能性をテーマに掲げる以上、未来を担う若い世代に多く集まっていただきたいという思いから、U25チケットを1,000円で販売するという決断をしました。この価格設定ができたのは、放送文化基金による後ろ盾のおかげであり、大変感謝しております。
想定外の反響とラジオ的な構造の価値
チケット販売を開始するまで、本当に200人以上の規模の参加者が集まるのか不安でしたが、いざ開始してみると想定以上の方にご購入いただき、1ヵ月もかからず240枚が完売しました。
中でもU25チケットは一般チケットよりも速いスピードで参加者が集まりました。1,000円という価格設定のおかげで気軽に参加しやすかったとみられ、ラジオについて学びたいという意思のある25歳以下の方がこれほど多くいたということは、非常にうれしい発見でした。また、ラジオは基本的に1人で聴くことの多いメディアなこともあり、内向的な人が多いイメージを持たれがちな業界ですが、懇親会付きチケットもすぐに完売して追加販売を行うなど、多くの人がリアルなつながりの場を求めていたのだと実感する結果となりました。
会場は東京富士大学のプリズムホールという大教室を使用させていただきました。大学施設が会場だったことにより、参加者から「授業を受けに来たかのような気分になった」とのコメントもいただき、学びの意欲を高める効果があったようです。長丁場なこともあり、途中の入退場は自由としていましたが、良い意味で予想外だったのは、冒頭の第1部から会場がかなり埋まっていたことです。多くの参加者が最後まで席を離れず、熱心に耳を傾けてくださいました。個別のテーマや登壇者の方に興味があるのではなく、ラジオというものに熱量がある方が来てくださったのだと感じることができました。また懇親会では、時間ぎりぎりまでゲストの方々と話したい!とそれぞれのゲストの前に列が絶えず、参加者同士でもコミュニケーションが積極的に取られていたのが印象的でした。

終始この高い熱量が維持された背景には、「配信なし、アーカイブなし」という前提が大きく影響していたのではないかと考えています。最近は当然のように発言が記録され、切り取られるリスクが常にありますが、今回は「残らない」前提があったからこそ、非常に自由な雰囲気で話していただくことができました。普段は言えないような、リアルな数字の話や率直な意見や疑問が次々と飛び出しました。ここだけだから気兼ねなく話せる、という構造は、ある種ラジオ的なものだったのではないかと思います。
つながりと熱量を、次のアクションへ
当日の参加者の方からのアンケート結果を見ていると、ラジオというメディアに改めて期待や希望を持つと同時に、行動力の必要性を感じている方が多かった印象です。自分の立場でどのような変革ができるか、手に入れた知見をもとに如何に周囲の人を巻き込むことができるか、そのようなことを考えている方が多く、何かが生まれる兆しを感じることができました。
ラジオセミナーの真価が問われるのは、これからだと考えています。セミナーで話を聞いて、業界の方と知り合って名刺交換をして終わりではなく、あの日の学びや出会いがあったからこそ新しく生まれた企画や、現場で達成できた具体的な成果が生まれて初めて、このセミナーの本当の意味や価値が証明されると考えています。これだけニッチなテーマのセミナーに、高い熱量で集まってくださった参加者の方々の姿を見て、きっと何か新しいことが生まれるだろうと楽しみにしています。
せっかく「ラジオセミナー“2026”」というタイトルを付けたからには、何かしらの形で今後も開催したいと考えていますし、もし次にやるのであれば、業界内だけで知恵を絞るだけでなく、外の業界からのインプットも豊富に提供できるような、より2歩、3歩先の未来を歩くためのイベントにしていけたらと考えています。「持続可能な音声業界」という目標に寄与できる場を提供するためにも、あの日生まれたつながりと熱量を一つの起点として、これからも地道に取り組んでまいります。

竹内梨紗(たけうちりさ)
株式会社玄石 プロデューサー/ディレクター 竹内梨紗
2021年コンサルティングファームに新卒で入社し、通信業界やIT業界の支援に携わる。2025年株式会社玄石に入社し、「林士平のイナズマフラッシュ」「宮司愛海のすみません、今まで黙ってたんですけど」「LINEヤフーのホントのところ」などPodcast番組の制作や複数のイベントに携わる。
2025年度助成 イベント事業(前期)
「持続可能な音声業界にしていくための音声業界活性化事業」
玄石 代表取締役 石井玄
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