第51回
放送文化部門
受賞者
手塚孝典(信越放送)
業績
25年にわたる満蒙開拓の証言記録とドキュメンタリー番組の制作
選考理由
戦争の影に埋もれた満蒙開拓の歴史に25年にわたり向き合い、日本のみならず中国を含む体験者の証言や長野県内に残る史料を丹念に掘り起こし、加害と被害が複雑に絡み合う“棄民政策”の実相を描いてきた。沈黙を強いられた人々の声に真摯に耳を傾け、戦前から戦後へと連なる歴史の澱みに迫る。作品は教育や地域学習の場でも活用され、不都合な史実と真摯に向き合いながら、地域から全国へ問題提起を続ける報道姿勢を地域放送局において率先して示してきた。
受賞の言葉
満蒙開拓の取材を始めたのは30代半ば。国策に従い全国最多の開拓民を満州へ送った長野県では、人々は不都合な歴史に沈黙していました。心の奥底をえぐるような取材は苦しいものでしたが、加害と被害双方の痛みを受容する地域社会を耕すことにもつながりました。一方で、国策の過ちは繰り返され、最も弱い立場の人々が犠牲を強いられる理不尽が続いています。満蒙開拓に目を向けることは、今の政治や社会とどう向き合うのか、暴力や不条理にどう立ち向かうのかを問い直すことにほかなりません。
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