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放送文化基金賞

受賞のことば 第47回【番組部門】ラジオ番組部門

最優秀賞

塀の中のラジオ
〜贖罪と更生 岡山刑務所から

(RSK 山陽放送)

 刑務所という特殊な環境で放送されるリクエスト番組とは?その社会的意義を探り、ラジオならではの「対話」と「音楽」の力を再認識しようと取材を始めました。いざ受刑者へのインタビューを重ねると「本当に彼らが人の命を奪ったのか?」と不思議な感覚に。贖罪と更生の間で葛藤する彼らの声は「塀の外」の私たちに様々なことを考えさせるものでした。私だって「塀の中」にいたかもしれない、とさえ思います。聞き終えて“もやもや”する“答えのない番組”にこれ以上ない評価をいただき、本当にありがとうございます。
 ナレーションを担当した沢知恵さんは言います。「隔絶された世界を知ることを許された者として、広く伝えることが私たちの使命」と。志は同じです。再犯防止や犯罪被害者支援の視点も求められていることを肝に銘じ、今後もラジオの役割を追究する所存です。
RSK山陽放送 米澤秀敏

優秀賞

サンドウィッチマンのオールナイトニッポン
(ニッポン放送)

 番組は一夜限りの特番でしたがこの10年、ニッポン放送にてラジオ番組『サンドウィッチマンの東北魂』を担当し、東北各地の様子や東北で暮らす方々と電話をつなぎながら、明るく楽しく声を届けてくれたサンドウィッチマンの積み重ねが今回の2時間につながったと感じております。
 改めて2人に御礼申し上げます。
 2人が震災時にラジオで聴いていたという、東北放送の藤沢智子アナウンサーにもお話を伺いました。
「停電になると、無音で真っ暗な中で不安になる。そうした時に知ってる人の声が聴こえると、あの人も今一緒にいるんだと不安を和らげることができる。普段からリスナーと近い所で信頼関係を持てればと思います。」
 これからも精進したいと思います。本当にありがとうございました。
ニッポン放送 冨山雄一

奨励賞

南海放送ラジオ報道特別番組
「感染」
—正義とは何か—
(南海放送)

 「あんたらが報道すると、もっと誹謗中傷されるけん・・・」。緊急事態宣言下、当事者への取材は難航しました。何人もの方に断られ続けるうちに「この番組は放送して何かの役に立つのだろうか・・・」と自問自答する日々でした。そんな中、出会ったのが四国遍路の歴史を取り上げた新書でした。そこには、100年前にコレラが流行した際、「自分を守るために」特定の職業や社会的弱者へ差別と迫害が繰り返されていたということでした。歴史を繰り返してはならない—。それだけがこの番組を放送するモチベーションでした。コロナ禍の裏には何万もの人権侵害に遭った事実を忘却しないように、この番組がいつか役立てば幸いです。本当にありがとうございました。
南海放送 植田竜一