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“サレ女D”が仕掛ける、怒りの浮気撲滅番組『なんで私が、サレ女なの?』

▶▶▶ 『日日是てれび日和』──気になる番組を読み解く週一コラム 桧山珠美 

【第19回】くるバラ『なんで私が、サレ女なの?』[テレビ東京・2025年11月29日(土)深夜25:25~放送]

テレビ東京が11月1日から始めた土曜深夜の新しいバラエティ枠「くるバラ」。キャッチコピーは「刺激的でクセになる! 中毒性抜群の新バラエティ枠」。複数の企画がくるくるとバトンタッチするから「くるバラ」。要するに単発企画の実験的バラエティだ。

その第1弾が11月1日・8日放送の『深夜の金欲 乙女の会』。第2弾が15日・22日放送の『婚活ヌマ子の憂鬱』、そして、29日に放送された第3弾が、今回の『なんで私が、サレ女なの?』だった。

“サレ女”というのはパートナーの浮気や不倫に苦しむ女性のことで、“サレおんな”ではなく、“サレじょ”という。番組は、自身も“サレ女”のディレクターが作る怒りの“サレ女”撲滅バラエティ!! ということらしい。

スタジオには、見取り図の盛山&リリー、ラランドのニシダ、そして、年間出演作品の8割が不倫男役という俳優の竹財輝之助が集まり、サレ女Dと対峙するかたちでトークが始まった。

「盛山さんは新婚ということで、浮気はしてないですね?」。尋問のような口調で、サレ女Dが訊く。「してないです。なんちゅうこと言うんですか」と盛山。「してないって言うしかなくない? してませんよ。ホンマにしてません」と続ける。続けて、リリー、竹財も「してません」と否定するのだが、ニシダだけは「してます」ときっぱり。「5年同棲しているんですけど、浮気はしてます」と。盛山が「言わんほうがええよ。今はもうしていないでしょ」とフォローするも、「今もしてます」と。バラエティのノリなのかと思ったがどうやらそうではないらしい。

そんなふうに、5人の立ち位置が明らかになったところで、サレ女Dが切り出した。
「そんなニシダさんも今回、浮気をやめようと思えるようなVTRをたくさん持ってきたので、ご覧いただければと思います」。

およそ1ヶ月、436人の女性にインタビューし、浮気しそうな男性の顔について調査。その結果、浮気しそうな男の特徴は、「ぱっちり二重」で「塩顔」で「面長」で「黒髪マッシュ」……という結果に。その特徴をまとめたお面をつけた男性が登場すると、どことなく、さらば青春の光の東ブクロに似ているという話になった。女性問題でいろいろあった東ブクロ似ということはある意味、調査結果は正しいということになる……か!?

これを踏まえて、サレ女Dに、「男性から見た浮気しそうな男性の特徴は?」と訊かれた5人からは、「ワイドパンツを穿いてる男」「流行をすぐ取り入れる男」「サスペンダー垂らし男」「モテてこなくて隠す技術を身につけた男」などなど。

「結局、浮気しそうな男がみんな好きっていう……」という男性陣の意見にも、サレ女Dは、「好きから始まって、後でクズ男だって気づいても、女性は心が広いから、好きっていうのが勝っちゃう。その時に、捨てられないんで、世の中にクズ男が蔓延してしまう」と反論。「あと、笑って(VTRを)見てるのもちょっと考えられなかったですね」と、男性陣にダメ出しまで。

ちなみに、このあと番組は“今どきの浮気調査”の現場に踏み込む展開に。さらに「もし妻や彼女が浮気したら?」という問いが出た途端、スタジオは一触即発の空気に包まれる。

浮気をされて傷ついた自分、その“痛み”を“企画”に変え、浮気撲滅番組として昇華させたサレ女Dはアッパレ。今回を第1夜とした2週連続の構成で、続編も期待したい。

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プロフィール

桧山珠美(ひやま たまみ)
HBF MAGAZINEでは、気になるテレビ番組を独自の視点で読み解く連載『日日是てれび日和』を執筆中。
編集プロダクション、出版社勤務を経て、フリーライターに。
新聞、週刊誌、WEBなどにテレビコラムを執筆。
日刊ゲンダイ「桧山珠美 あれもこれも言わせて」、読売新聞夕刊「エンタ月評」など。


“HBF CROSS”は、メディアに関わる人も、支える人も、楽しむ人も訪れる場所。放送や配信の現場、制作者のまなざし、未来のメディア文化へのヒントまで──コラム、インタビュー、レポートを通じて、さまざまな視点からメディアの「今」と「これから」に向き合います。

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