第47回

ラジオ部門

最優秀賞

受賞者

RSK山陽放送

作品名

塀の中のラジオ ~贖罪と更生 岡山刑務所から

概要

土曜日の夜9時。岡山刑務所だけで放送されている「受刑者のためのリクエスト番組」があります。DJを担当するのも受刑者です。彼らが聞きたい曲を、リクエストに添えられたメッセージとともに紹介する、まさに「ラジオ番組」です。1980年から40年以上続く全国的に珍しい取り組みですが、その存在はまったくと言っていいほど知られていません。
主に初犯で懲役10年以上の男性を収容する岡山刑務所。服役する約440人の半数以上が無期刑というこの施設で、「塀の中のラジオ」は彼らの心にどんな影響を与えているのでしょうか?犯した罪の重さと向き合う受刑者の声を取材すると、「事実上の終身刑」と指摘される無期刑の現状や、高齢受刑者同士の老々介護、社会復帰後の彼らの居場所など、日本の刑務所をめぐる様々な課題も見えてきました。
放送後は「身近にある刑務所の、知ろうとしてこなかった、想像を絶する状況を知ることができた」「無期懲役囚の声が、映像の何倍も想像を掻き立てた」「彼らの後悔の念は私たちへの戒めに思えた」など、多くの反響が寄せられました。

選考理由

音楽のちから、ラジオの原点を強く思い起こさせる作品だった。
絶望的な長期受刑者たちが多く、自己承認に飢えている彼らにとって、リクエストが認められることで、他者からの自己承認を得られ、それが生きていく救いになる。
リクエスト番組の原点。
ラジオの極限のひとつの形。演歌ではなく、Jポップやクラプトンがかかるのが印象的。

受賞の言葉

刑務所という特殊な環境で放送されるリクエスト番組とは?その社会的意義を探り、ラジオならではの「対話」と「音楽」の力を再認識しようと取材を始めました。いざ受刑者へのインタビューを重ねると「本当に彼らが人の命を奪ったのか?」と不思議な感覚に。贖罪と更生の間で葛藤する彼らの声は「塀の外」の私たちに様々なことを考えさせるものでした。私だって「塀の中」にいたかもしれない、とさえ思います。聞き終えて“もやもや”する“答えのない番組”にこれ以上ない評価をいただき、本当にありがとうございます。
ナレーションを担当した沢知恵さんは言います。「隔絶された世界を知ることを許された者として、広く伝えることが私たちの使命」と。志は同じです。再犯防止や犯罪被害者支援の視点も求められていることを肝に銘じ、今後もラジオの役割を追究する所存です。
RSK山陽放送 米澤秀敏

スタッフ

プロデューサー 山内基裕
取材・構成 米澤秀敏
ナレーション、リクエストカード代読 沢知恵(歌手)
リクエストカード代読 坂俊介、伊藤正弘、坂井亮太

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