第46回

ラジオ部門

優秀賞

受賞者

文化放送

作品名

文化放送報道スペシャル 戦争はあった

概要

小松左京氏の『戦争はなかった』という短編小説がある。同窓会に集まった仲間たちが誰も「あの戦争」のことを覚えていないというSFホラーだ。アーサー・ビナード氏が発した「この作品こそが今の日本を予見している」という一言をきっかけに、私たちは一度も見たことがない「戦争」というものを探すこととなった。①池袋の雑踏に隠れた東京裁判 ②大規模団地の路地に眠る特攻隊 ③女子大で守られてきた軍部中枢 ④文化放送に払い下げられた隠ぺい送信所 ⑤オタクの聖地に隠れるスパイ養成所
我々は、戦争の残滓を見つけた。それは、どれも日常生活のすぐ隣でひっそりと佇んでいた。

選考理由

『戦争はあった』は、小松左京の小説をアイデアとして、日常的に私たちが謳歌しているふだんの暮らしの地面の下に、戦争遺跡とでもいうべきものが多く潜んでいることを、アーサー・ビナード氏の軽快な語り口で次々と明らかにしていく。戦争について、今までにない切り口でとりあげて、楽しくさえあった。

受賞の言葉

「戦争特番とはこういうものだという先入観から抜け出て、今まで聴いたことのない番組を作ってみよう」という実験的精神で制作した番組でしたので、このような素晴らしい賞を頂けるとは思ってはおりませんでした。小松左京氏の作品に出会えたことをきっかけに、この作品と向き合いながら75年前の戦争を探すという旅に出ました。旅といっても東京近郊をめぐる町歩きです。そして左京氏が訴えたかったことを探す旅でもありました。高層ビルの陰や自宅の近所に隠れる「戦争」を探す旅はとても刺激的なもので、今回の受賞で改めて「我々の方向性は間違っていなかった」という思いにも至ることができました。本当に有難うございました。
文化放送 鈴木敏夫

スタッフ

プロデューサー 鈴木敏夫
構成 山田睦美
編集・ディレクター 相笠淳一
取材 伊藤佳子、石森則和、吉田涙子、小谷哲一、田中正史
出演 アーサー・ビナード、鈴木純子(文化放送アナウンサー)、山本武利(一橋大・早大名誉教授)、栗原俊雄(毎日新聞記者)、山下徹 (郷土史家・カメラマン)、野上沙登子(相模女子大学総務課)、釣巻耕秀(文化放送・元役員)

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