第50回
ドラマ部門
最優秀賞
受賞者
NHKエンタープライズ、NHK
作品名
NHKスペシャル シリーズ“宗教2世” 神の子はつぶやく
概要
ある宗教団体の熱心な信者・木下愛子(田中麗奈)のもとで、幼少期から“神の子”として育てられた長女・遥(河合優実)は、学校でのつながりや部活、カラオケ等の楽しみを禁じられる。母に従順な妹・祈(根本真陽)も、成長と共に感じる窮屈さをひた隠しにしながら生きる。夫婦でたこ焼き屋を営み、慎ましくも幸せになりたいと願ったはずの家族。ところがある時、妻と娘たちとの絆を信じた父・信二(森山未來)が病で命の危機に晒される。厳しい現実を前に、それぞれの“信じる”気持ちが壊れ始める。遥と祈は、生き方を分かちながらも、同じ問いを心の中でつぶやく。「お母さんは、どうして神様を信じたの?」。
安倍元首相銃撃事件を機に声を上げ始めた“宗教2世”たちと、その家族への徹底取材に基づくオリジナルドラマ。善と悪を分ける神の教えと、親への愛。その狭間で激しく揺れる“宗教2世”の心を、姉妹の“個”の視点から深く掘り下げて描く。
選考理由
現在の日本が今まさに向き合うべき「宗教2世」の問題を、子供の視点から描くと同時に、家族の愛をしっかりと描いて、観る者の心を鷲掴みにした。少女が家を飛び出したあとの苦悩と葛藤が、普遍的な問題として丁寧に描かれているところも評価された。主役の河合優実の演技が秀逸であり、宗教に救いを求める母親役の田中麗奈ほか俳優陣が充実していた。しっかりとしたリサーチに基づく脚本と演出に支えられた名作である。
受賞の言葉
今から4年ほど前、大切な同僚が教えてくれた“宗教2世”という言葉。その同僚もお母様の宗教と長く向きあってきたことを知り、私は衝撃を覚えました。そして2022年夏、安倍元首相の銃撃事件が発生。今、ドラマだから伝えられる人生の葛藤があると、本当に多くの仲間たちが勇気を与えてくれて制作がスタートしました。
その過程で、宗教から離れるということは、アクセサリーを取り外すようなものではないと学びました。この世で最初に親が教えてくれたことは、無意識に自分の血となり肉となります。愛する人が伝える「教え」だから、苦しくもなる。自分がもし主人公だったら…と、1人でも多くの方が想像してくださったら、心から嬉しいです。
NHKエンタープライズ 家冨未央
スタッフ
演出/脚本 柴田岳志(NHKエンタープライズ)
脚本 川恵実(NHK)、野田慈伸
音楽 清水靖晃
撮影 山本周平、田島 茂
美術 遠藤真樹子
演出補 鳥飼久仁
制作統括 梅内庸平(NHK)
プロデューサー 大越大士
家冨未央(NHKエンタープライズ)
出演 河合優実、田中麗奈、根本真陽、杉田雷麟、岩男海史、吹越満、萩原聖人、渋川清彦、酒井若菜、森山未來 ほか
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