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放送文化基金賞

受賞のことば 第48回【番組部門】テレビドキュメンタリー番組部門

最優秀賞

目撃!にっぽん
妹が生まれなかったかもしれない世界 ~出生前診断と向き合って~

(NHK名古屋放送局)

 NIPT(新型出生前検査)が、社会的な議論が十分にされずにビジネスとして広がる現状に違和感を抱き、取材を始めました。両親や、検査を受け決断を迫られた人たちの話は、言葉のひとつひとつが重く、賛否だけで語ることはできない現実を知りました。障害がわかった赤ちゃんの中絶を選んだ方の「自分の選択が、障害のある人たちが生きづらい世の中につながってほしくない」という言葉が印象に残っています。命の選択に繋がるこの技術を社会でどう使い、その先にどんな世界の形を描くのか考えていくことが必要だと感じました。普段、気軽には話しづらいテーマだと思うので、この番組が、家族やパートナー、友人との議論のきっかけになれば幸いです。
NHK 植村優香

優秀賞

ETV特集
「“玉砕”の島を生きて ~テニアン島 日本人移民の記録~」

(グループ現代、NHKエンタープライズ、NHK)

 1994年、初めてサイパンを訪れ、「玉砕」しなかった人たちに会って以来、旧南洋群島での暮らしや戦場の証言を記録することが、ずっと私のライフワークとしてありました。2005年、NNNドキュメントでテニアン島の集団自決を描いた、『俺は母ちゃんを殺した』に続き、ようやく二作目を世に出すことが出来ました。
 沖縄戦の一年前にあった住民を巻き込んだ地上戦、集団自決の記憶はあまりに惨く、多くの人たちがずっと口をつぐんできました。それほどに悲惨な戦争に巻き込まれる民間人が、いまこの世界にいるということに、体験者の皆さんは本当に心を痛めています。つらい思いを抑えて語ってくださった方々の証言が、二度と戦争を起こさない、という現実の力となり、活かされていくことを切に望みます。
グループ現代 太田直子

奨励賞

瀬戸内海がゴミ箱になる日
(南海放送)

 プラスチックゴミは400年以上経っても分解されないと言われています。余りにも長く、自然に還るという想像もできないほどです。誰かが拾わなければ減る事はないのです。そんな途方もない海洋ゴミの現状に真っ向から立ち向かう岩田さん。ご覧になった方は、その活動をどのように捉え感じるでしょう。賛否両論はあると思いますが、それは当然のことで、活動が美談にされるのを岩田さんも望んでいません。岩田さんが望むことはただ一つ、「ゴミを後世に残してはいけない」。その言葉が取材中、印象に残りました。その言葉を胸に、瀬戸内海の実態を伝え、多くの人により関心を持ってもらえるよう、これからも取材を続けたいと思います。
RNB コーポレーション 山本貴洋

奨励賞

第30回FNSドキュメンタリー大賞
命の選択 ~ALSとの闘い~

(山陰中央テレビジョン放送)

 ALSという難病を患い、感染症への感染は死に直結しかねない状況にも関わらず取材に応じていただいた患者・家族の皆様への感謝の気持ちでいっぱいです。生と死を常に感じざるを得ない中で、コロナ禍の今をどう生きているのか?「家族と一緒にいたい」と生きる選択をしたにも関わらず、コロナ禍で生きる意味さえ奪われた状況をどう考えているのか? 声を出せない、動くことができない患者の思いをテレビはどう伝えられるのか・・・思いを巡らせながら取材しました。新型コロナ感染症のワクチンや治療薬は徐々に開発され、対処できつつある病気になってきています。こうした番組がALSを含む難病の治療薬の開発につながり「治る病気」になることを願います。
山陰中央テレビジョン放送 藤谷裕介

奨励賞

NHKスペシャル
原爆初動調査 隠された真実

(NHK広島放送局、NHK福岡放送局)

※贈呈式には 水嶋大悟さん(NHK)が出席されました。

 「なぜ、被爆地に残る放射線、残留放射線の存在は隠蔽されることになったのか?」「遠い昔の出来事が、今とどう繋がっているのか?」—ディレクターたちは、77年前の問題ではなく、「今の問題」として取材に向き合いました。調査に参加したアメリカ人医師の孫は「祖父は政府の“共犯者”だった」と語ったように、政治と科学との関係など、様々な事を考えさせられる事になりました。残留放射線の影響を訴えたのに、聞き入れられることなく亡くなった広島や長崎の人たち。貴重な証言をして頂いた西山地区の方々に感謝したいと思います。
NHK 佐藤稔彦