放送文化基金賞

第51回

講評

基金賞特集

【第51回放送文化基金賞】放送技術部門 講評

放送技術部門 永井研二 委員長

今年の応募件数はNHK1件、民放10件(うち地域局2件)の合計11件で、いずれも今後の放送技術の発展、業務の改善に多大な貢献が期待できる開発で熱意を持った取り組みに心から敬意を表する。今後、送信分野からの応募も期待したい。選ばれたのは次の4件である。

● 3Dスキャンワークフローの簡易化とその活用(日本テレビ放送網)
専用機材と長時間の処理時間を要していた3D映像生成をスマホで撮影した10分ほどの素材映像から数時間で3D映像を生成する技術を開発、パリ五輪中継等で活用し、好評を得たほか、能登半島地震直後の被災状況を、3Dでアーカイブし誰もがwebビューアで視聴できるようにしたことは、防災・減災にも貢献しており、高く評価できる。

● 「Live Multi Studio」の開発(TBSテレビ / WOWOW)
遅延が生じるインターネット回線でのカメラ操作などを可能とするため、独自の伝送方式を開発、ゴルフ、テニス等の海外生中継番組で現地カメラ、スイッチャー等の国内からのリモート操作を可能とし、効率的な中継を実現した。『世界陸上オレゴン』、テニスの国際大会『男子テニス国別対抗戦デビスカップ』中継等で使用し、好評を得ていることは、高く評価できる。

● VMO(バーチャルマスターオペレーター)の開発(テレビ北海道)
放送局の主調整(マスター)業務を安全かつ円滑にリモート化するシステムを開発、通常時における監視業務の効率化と、災害時や障害発生時における体制の強化を可能とした。さらに他放送局の統合監視も可能となり、他局の監視業務を受託していることは高く評価できる。AI導入による業務改善にも取り組んでおり、更なる効果を期待したい。

● H3ロケット打上げ用超高精細撮影システムの開発(NHK / JAXA / M-Tec JAPAN)
大型ロケットの打ち上げに際し、従来の3km以上離れた場所からの撮影を本システムの開発により、約90mの至近距離から迫力のある超高精細度の映像の撮影を可能とした。この映像は、NHKスペシャルなどの多くの番組に使用され好評を得ているほか、打上げ時のロケットやエンジンの挙動の確認にも役立っていることは、高く評価できる。

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