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検証結果などどうでもいい!『巷のウワサ大検証!それって実際どうなの会』の本当の魅力

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【第27回】 『巷のウワサ大検証!それって実際どうなの会』(TBSテレビ・2026年2月4日放送)

世の中に溢れる“ウマイ話”や“長年の疑問”を手間と時間を惜しまず調査。ありのままの結果を伝えるのが、この『巷のウワサ大検証!それって実際どうなの会』だ。いまどき珍しいほどの愚直な番組である。とにかく「やってみる」。それがこの番組の強みだ。

“会長”の生瀬勝久がMCをつとめ、ほかにレギュラーとして、満島真之介や大島美幸(森三中)、そして、ゲスト(この日は森泉)がスタジオで、「検証VTR」を見ながら盛り上げる。

2時間特番のこの日の検証テーマは3本。「料理にレモンをかけると太りにくくなる」「タコス専門店は超儲かる!?赤字の団子屋で徹底検証!!」ほか。ここでは前の2本を取り上げる。

最初の「料理にレモンをかけると太りにくくなる」を検証するのは、双子のお笑いコンビ、ザ・たっちのたくやとかずや。検証期間は3日間。たくやはレモンあり、かずやはレモンなしで同じハイカロリーの料理を食べ、体重の変化を比較する。

この2人が凄いのは、スタート時の体重がぴったり同じこと。まさにプロの双子。この検証には欠かせない人材だ。今回は、2人とも76.3㎏からのスタートだった。

唐揚げ定食にミックスフライ、焼肉、クリームパスタ、カレーライス、とんかつ――3日間、毎食ハイカロリーなメニューが続く。この料理を作っているのが番組御用達のフードコーディネーターの松山さん。とにかく毎回、美味しそうで、松山さんがお店を出してくれたら、毎日通うのに、と思うほどだ。食べる以外も同じ条件で過ごすのがルールで、2人はいつもソファーで寝ころびながらゲームをしている。

3日間を終えて、レモンありのたくやが+0.2㎏、かずや+0.4㎏。どちらも体重は増加したものの、レモンをかけたほうが0.2㎏増加を抑えることができたということになり、番組的には「レモンをかけると太りにくい」は実証されたことになる。

とはいえ、0.2㎏など誤差の範囲だし、たった3日間の検証で何がわかるか、という気もしないでもない。それでも、見てしまうのは、生身の人間がカラダを張って挑戦するというアナログなやり方に人間味が感じられるからではないかと思う。はっきりいって、検証結果などどうでもいい。それよりも検証の過程を楽しむのがこの番組の醍醐味なのだから。

それを証明するのが、この日のもう1つの検証、「タコス専門店は超儲かる!? 赤字の団子屋で徹底検証!!」だ。検証の舞台は、これまでにも何度も番組の検証に協力してきた板橋のハッピーロード大山商店街の伊勢屋餅菓子店。

番組が、超儲かると持ち掛け、毎回、その話に乗る店主とパートの高原さんのキャラクターがいい。実質、店を采配しているのはパートの高原さんで、その働きっぷりもさることながら、忙しくてパニックになると、若干、不機嫌になるところも人間らしくていい。高原さんの不機嫌の原因は店主。余計なことをするだけであまり役に立たない(ように見える)。このふたりの関係性も実に興味深い。

忙しさのあまりギスギスするふたり。険悪なまま終わるかと思えば、何かをきっかけにいつのまにやら仲直り。そんなふうにむき出しの感情でぶつかるふたりが羨ましく思える。お互いに信頼しているがゆえのことだろう。

そして1日の終わり、その日の売上げを発表する際は、ふたり並んで一喜一憂。売上げが伸びるとニッコニコになる。高原さんはパートで、忙しくても時給が高くなるわけでもないのに、本当に頭が下がる。以前の回で、ご褒美にちょっと高いカラオケ屋さんに連れて行ってもらえると言っていたが……。

検証はともかく、人間ドラマとしてこんなに面白いものはない。正直いって、下手な連ドラよりもこの「伊勢屋餅菓子店」のほうがよっぽど見ごたえがある。人間っていいなあと思わせてくれる番組だ。

ちなみに本番組は、2024年3月まで中京テレビ制作で日本テレビ系にて放送されていた『それって!?実際どうなの課』と、内容や出演者が近いことでも知られる。番組終了後、同年6月からTBS系列で単発特番として放送が始まり、好評を受けて10月からはレギュラー化。日テレはコメントを控え、TBSは「魅力あるコンテンツを放送するのが責務」と説明している。

ことの経緯はどうあれ。視聴者にしてみれば面白い番組が見られるようになったことは単純にありがたい。これもひとえに、企画制作者の番組への熱い想いと執念、そして、中京テレビの寛大さ、TBSの懐の深さのおかげかと。

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プロフィール

桧山珠美(ひやま たまみ)
HBF MAGAZINEでは、気になるテレビ番組を独自の視点で読み解く連載『日日是てれび日和』を執筆中。
編集プロダクション、出版社勤務を経て、フリーライターに。
新聞、週刊誌、WEBなどにテレビコラムを執筆。
日刊ゲンダイ「桧山珠美 あれもこれも言わせて」、読売新聞夕刊「エンタ月評」など。


“HBF CROSS”は、メディアに関わる人も、支える人も、楽しむ人も訪れる場所。放送や配信の現場、制作者のまなざし、未来のメディア文化へのヒントまで──コラム、インタビュー、レポートを通じて、さまざまな視点からメディアの「今」と「これから」に向き合います。

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