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放送文化基金賞

受賞のことば 第49回 ドラマ部門

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最優秀賞

エルピス
―希望、あるいは災い―

(関西テレビ放送)

左から 佐野亜裕美さん、稲垣護さん(ギークピクチュアズ)

 全てのドラマには産みの苦しみがあり、世に出るまでには多くの人の力が尽くされているものですが、このドラマでは公に名前を出せない方も含め本当にたくさんの方のお力をお借りしました。関わってくださった皆さまに深く感謝申し上げます。
 私たちが生きるこの社会に冤罪という恐ろしい犯罪があること、それをエンタテインメントの形で伝えたいという想いからスタートした企画でしたが、登場人物たちと共に戦いを続けるうちに、法曹界にとどまらず、政権や報道機関が抱える問題にも触れることができたのはまさに連続ドラマの醍醐味だと思います。この賞を励みに、さらにドラマ作りに精進していきます。ありがとうございました。
関西テレビ放送 佐野亜裕美

優秀賞

ドラマ10
大奥

(NHK)

 この度は、大変名誉ある賞をいただき誠にありがとうございます。
 原作は、数々の賞を受賞した人気コミックです。多くの原作ファンの皆さんのご期待に応えられるかどうか、制作をはじめた頃はプレッシャーを感じていました。
 しかし脚本の森下佳子さんによる新たな解釈と秀逸な物語の再構成。出演者のみなさんによる情感のこもった演技。そして大河ドラマ等で培ったNHKスタッフの経験とスキル。KOHTA YAMAMOTOさんと幾田りらさんによる番組を彩る音楽。パズルのピースが揃うように不安は少しずつ期待に変わっていきました。
 2023年は、まだ映像化されたことのない原作の「最後」までのドラマ化に挑みます。いただいた賞を励みにして、今一度多くの視聴者の皆さんに楽しんでいただける番組を作っていきたいと思います。
NHK 藤並英樹

奨励賞

ふたりのウルトラマン
(東京ビデオセンター、NHK、NHKグローバルメディアサービス)

 30年ほど前、ウチナンチュ(沖縄人)のシージャ(先輩)脚本家、金城哲夫さんの仕事に夢中になり、お会いした上原正三さんは「君たちは、金城、金城と言うけれど、僕も書いているからね」と、おっしゃった。作家としての強烈な自負を感じ、上原さんの脚本を読むと、金城さんのコスモポリタンな脚本に対して強烈なウチナンチュの反逆心があった。ふたりのウルトラマン脚本家のマブイ(魂)が、同じウチナンチュの満島真之介さんと佐久本宝さんに宿り、円谷一さんの魂を背負った青木崇高さんを巻き込み、出演者、スタッフに伝播して番組は生まれた。見ていただいた皆さん、イッペーニフェーデービタン(ほんとうにありがとうございました)。
沖縄在住の映画監督 中江裕司

奨励賞

ブラッシュアップライフ
(日本テレビ放送網)

 タイムリープという仕掛け自体は壮大ですが、ドラマで描くのは普通の女性の普通な人生。けれど最後は「そんな普通が一番愛しい」となる…そんなわけで「普通」にこだわりました。バカリズムさんの脚本にある“極上の日常”をどう表現するか、安藤サクラさんはじめ豪華なキャスト、水野監督率いる熱意あるスタッフみんなで、あーだこーだ言いながら作りあげていった日々は今思い出してもニヤニヤしてしまう…それぐらい楽しい時間で、自分の中ですっかり日常化していたドラマ制作という仕事を、やっぱ好きだなぁと再認識。みんなでいただいたこの賞を励みに、もっと面白いドラマを、ますます楽しんで作っていきたいです!ありがとうございました!
日本テレビ放送網 小田玲奈