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放送文化基金賞

受賞のことば 第45回【番組部門】ラジオ番組

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最優秀賞

SCRATCH 差別と平成
(RKB毎日放送・TBSラジオ 共同制作)

神戸金史さん  鳥山 穣さん

 東京に赴任し、鳥山君と出会ったことで、ローカル局とキー局の共同制作という特番が生まれました。テレビとは違う「ラジオならでは」の表現を目指しました。実際に会った植松被告は、いかにも普通の青年という印象です。誰の心にもある「内なる優生思想」を見据えて、「現代日本に広がる差別とは何か」を、番組のテーマとしました。
RKB毎日放送 神戸金史

 生放送が主流であるラジオの中で、長尺のドキュメンタリーはマイノリティな存在です。しかし、音声だけだからこそ強く伝わるものが大きいと考えます。有限の環境に無限の世界。録音機材や編集ソフトなど技術の発達がこのジャンルの未来を照らしています。
TBSラジオ 鳥山 穣

優秀賞

ラジオドラマ
「ストリッパー物語」

(ニッポン放送・日本映画放送)

杉田成道さん  松尾紀明さん

 「つかこうへい」には映像にはできない際どい表現もあり、ラジオの特性を生かして、新たな表現方法ができないかと思い、“息づかい”をテーマに置いてみました。俳優には台詞を全部覚えてもらい、マイクの前でなく、実際に動いて芝居をし、逆にマイクがそれを追いかけるといった、いわば禁じ手のような手法を使いました。おかげで、場の“空気”というものは伝わったのではないかと、ほっとしています。 ありがとうございました。
日本映画放送 杉田成道

奨励賞

消せない記憶
〜元学徒兵の苦悩〜

(琉球放送)

 沖縄が鎮魂の祈りに包まれる「慰霊の日」に、RBCアナウンサーが毎年取り組んでいる平和朗読会。今回は県立首里高校で行い、同高校の出身者である宮平盛彦さんの戦争体験記を題材として取り上げました。日本の歴史で初めて14 歳の中学生が陸軍二等兵として扱われ、軍隊と行動をともにした沖縄戦の狂気を伝えたく、あらためて取材を始めました。リサーチを進めるうちに命を落とした犠牲者だけでなく、生き残った少年達も心に深い傷を負い戦後を生き抜いてきたことを知ります。
 そこには教科書では紹介されない、個人の人生に起こった戦争のリアリティがありました。今も基地問題で揺れる沖縄ですが、番組を通して沖縄が戦争や軍隊に対する強いアレルギー反応を起こす一因を具体的に感じてほしいです。
 辛いお話をして下さった宮平さんに心から感謝いたします。
琉球放送 狩俣倫太郎