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放送文化基金賞

受賞のことば 第43回【番組部門】テレビドラマ番組部門

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★最優秀賞

土曜ドラマ
トットてれび

(NHK)

井上剛さん、加賀田透さん

 テレビの歴史そのものといえる黒柳徹子さんの人生をドラマにするのは、無謀なことだったかもしれません。ですが、黒柳さんはじめ、テレビの草創期を担った人たちのエネルギーに負けないよう、全力をつくしました。ドラマ化を快諾してくださったばかりか、自ら「百歳の徹子」として出演までしてくださった黒柳さんに深く感謝します。主演の満島ひかりさんは、そのアドリブゼリフを聞いた黒柳さんが「いかにも私が言いそうなこと」と驚くほど、外見や話し方だけでなく、黒柳さんの精神までも見事に演じ切ってくれたと思います。満島さんはじめ、ドラマを支えてくれた全キャスト・スタッフの皆さんに深く感謝します。ありがとうございました。
NHK 加賀田透

★優秀賞

土曜ドラマ
夏目漱石の妻

(NHKエンタープライズ、NHK)

吉永証さん、柴田岳志さん

 夏目漱石没後100年の年に放送の今回のドラマは、漱石の妻・鏡子さんが語った言葉やエピソードを元に、明治を生きた一組の夫婦の姿を真正面から描くことから始まりました。池端さんと「このドラマが、漱石を扱ったドラマの代表作になるといいよね、是非それを目指そう!」と話したことが今も鮮やかに思い出されます。渾身の力でオファーした尾野真千子さんと長谷川博己さんが出演を快諾してくれて、ドラマにエネルギーが注入され、その後の制作もきわめて順風満帆、「これは実際の漱石夫婦が導いてくれているのでは!」と感じた次第です。作ることに運命を感じる、そんなドラマでした。制作に関わった方々、ご覧いただいた方々、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
NHKエンタープライズ 吉永 証

●奨励賞

火曜ドラマ
逃げるは恥だが役に立つ

(TBSテレビ)

峠田浩さん、宮崎真佐子さん

 このドラマは、「仕事としての契約結婚」という新しい結婚の形をテーマに、“恋ダンス”を始めとして、SNSとの連動など、テレビの連続ドラマの楽しみ方をたくさん詰め込んだ作品にしたいと思っていました。また、どの登場人物も個性的な人生を選んでいますが、その選択は間違いではないですし、その選択の先に幸せを見つけてほしい。そうした生き方の多様性を伝えることも一つのテーマでした。その意味でも、自分たちの想像を遥かに超えて、本当に多くの人に楽しんで観ていただけたことはとても嬉しかったです。素晴らしいキャスト、スタッフ、この作品に関わった全ての方々に心より感謝致します。
TBSテレビ 宮崎真佐子

●奨励賞

NHKスペシャル
「未解決事件」 File.5 ロッキード事件

(NHK)

堀切園健太郎さん、佐野剛士さん

 この番組は、単なる再現ドラマではなく、ドキュメンタリーとドラマがそれぞれ独立し、拮抗するというのがコンセプト。ネタは「ロッキード事件」と聞いて、血が騒がないはずがない。しかし、脚本作りや撮影準備に3ヵ月半しかない。膨大な資料に埋没し、巨大な闇の深さに改めて気づかされ、眩暈がする日々。それを支えてくれたのが、ドキュメンタリーチームのディレクター陣であり、取材させていただいた当時の検察や記者の方々の矜持だった。正確な情報を取捨選択した上で、あとはドラマとしてどう着地させるか。そもそもドラマとは何かという根源的な問題と向き合うことになったこの番組で、ドラマ部門で貴重な賞をいただけたことは光栄である。
NHK 堀切園健太郎