公益財団法人 放送文化基金 トップページ 地図 リンク お問い合わせ
English Site
放送文化基金概要 助成 表彰 制作者フォーラム 放送文化基金報
トップページ助成研究報告会>22年度 研究報告会 
リニューアルサイトへ
助成メニュー
申込方法
助成対象一覧
研究報告会
  ◇バックナンバー一覧

助成Webシステム
(別ウィンドウで開きます)
助成の申請、各種書類の提出はこちらから。

助成データベース
昭和49年(1974年)度から現在まで当基金が実施した助成の対象全てを検索できます。

検索はこちら
助成・援助

贈呈式・研究報告会
⇒最新の研究報告会情報へ
平成22年10月29日(金)、東京千代田区の千代田放送会館で研究報告会を開催しました。研究者、放送関係者など約70人が参加し、平成20年度に助成した研究の中からつぎの2件について、研究者からの成果報告と会場参加者による意見交換会を行いました。


▽人文社会・文化 研究報告

テレビ番組研究会

国広 陽子(東京女子大学教授)
大坪 寛子(慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所研究員)
『過去のテレビ番組と記憶の共有―超高齢化する山口県の島嶼地域での高齢男性を対象にしたフィールド調査から』


▽技術開発 研究報告

動画CUD化研究グループ

代表 前川 満良(石川県工業試験場研究主幹)
『放送のカラーユニバーサルデザイン(CUD)化に資する色弱者の瞬間混同色差の研究』


研究報告会に参加して

●放送界全体で模索したい共通言語としての「色」

 土肥 義充(フジテレビジョン美術制作局 ゼネラルプロデューサー)

 放送における色の識別は、時間との勝負でもある。テロップ、スーパーで表示される文字や図形の認識時間はほんの数秒。その「瞬間」に色の情報を色弱者にも正しく理解してもらわなければならない。駅の案内表示などに見られるカラーユニバーサルデザインとの最大の違いだ。そこに着目したCUDの「瞬間可読混同色差」研究に期待したい。
 いま気になるのが天気予報。晴れ、曇り、雨の表示はもちろん、各地気温の分布や降水量の多寡を何色で表示するのか、局(番組)によって尺度はバラバラだ。演出、個性だといえるかもしれない。しかし、人命にかかわる緊急災害情報は別だ。チャンネルが変わっても、どんな人でも瞬時に色を識別し、理解できるようなある種、共通言語としての「色」を放送局全体で模索することが必要ではないか。

●研究成果から新しい放送文化創出に向けて

 箕浦 康子(放送文化基金 監事/お茶の水女子大学名誉教授)

 今回の報告会は、放送文化基金の新しい役割を示唆するものであった。第一報告は、過去のテレビ番組の共同視聴を緒口として高齢男性間のコミュニケーションを活性化することを試みていたが、フロアーから放送以外の目的で番組を活用する際の権利関係の処理について質問が出た。保存のためだけのアーカイブはむなしい。アーカイブの番組を有効に活用するための新しい指針を議論する場を放送文化基金が提供することも考えられよう。
 第2報告は、色弱者にはカラー放送はどのように見えているのかをテーマにしていたが、報告会自体が送り手側のアートデザイナーと研究者の出会いの場となっていた。日本人男性の20人に1人、北欧男性では8人に1人が色弱者ということを考えれば、カラーユニバーサルデザインの考えを浸透させるタスクフォースを設置することも考えられる。
 研究報告をだけに終わらせずに、発表を新しい放送文化の創出につなぐような役割を基金が担えるのではないかと感じさせる報告会であった。