【本賞】阪神・淡路大震災15年 特集ドラマ その街のこども(NHK大阪放送局) |
このドラマができるまでには、3年以上の時間がかかっています。スタートは、当時の放送部長、制作部長の一言でした。彼は震災でお母さんを亡くされたご遺族でした。東京から大阪に転勤になった私に、“なんとか神戸の人々の思い――非常に複雑で、一口ではいえない、そういう思いをすくいとるような、表現をしてほしい”と。この言葉を胸に、大阪局の総力を結集して積み上げたものだと思います。そして、もう一つ、忘れてはならないのが、一人の若者との出会いでした。15年前、小学校4年の時に神戸で震災を体験した森山未來さんです。今回、まさか彼が受けてくれるとは、正直思っていませんでした。次は、佐藤江梨子さんです。佐藤さんは、中学1年生で、同じ東灘区で震災を体験されています。ドラマの中で、勇治が『中一やったら、もっといろんことが見えていたでしょうね〜。』というセリフがありますが、実はもっと大きな心のハードルがあったように思っていますが、それを外には出さず、この作品に飛び込んでくれて、素晴らしいものにしてくれました。本当に、彼ら、神戸に生まれたその街のこどもと、神戸の人々、神戸の街が、作り出した作品だと思います。こういう賞を受け、この作品がいろんな人の心に希望の灯りをともせるようになればいいなと思っています。 |
NHK大阪放送局 京田 光広
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佐藤 江梨子(出演者)
ごめんなさい。空気読めないくらい派手な格好でここに来てしまって(笑)。受賞作は、真面目な作品なんです。さきほど京田さんがおっしゃった言葉に……。今日はもう絶対に泣かないぞと思ったんですけど。すごくこの作品に出られて、良かったなと思います。そして、ドラマっていうのは視聴率が大事なのかもしれないし、そうじゃないのかもしれないんですけど、ともかく、
これを選んでくださったみなさん、本当にどうもありがとうございます。
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森山 未來(出演者)
このドラマは、1月17日の慰霊祭の前日に、たまたま神戸に降り立った、震災を経験した男女が出会って、夜通し神戸を歩き、最後に慰霊祭にたどりつくというお話です。なので、夜中の神戸を歩く暗闇での撮影が続いて、佐藤江梨子ちゃんも、脚本家の渡辺あやさんも、京田さんも、みんなあの震災になんらかのかかわりをもった人間ですから、“やっぱり神戸の人間だったら、この真っ暗な情景というのを、恐れずに、照明をたいたりしなくても伝わるんだと思いますよ”って言ったんです。こうやって評価してもらえたことはとても嬉しいです。ほんとに。江梨ちゃん、スタッフのみなさん、見てくださった人たちに、感謝したいと思います。 |