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放送文化基金賞の応募方法がWeb申請に変わりました。 |
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第36回 放送文化基金賞 受賞のことば(贈呈式から) |
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【本賞】 |
ハイビジョンふるさと発
嵐の気仙沼 〜港町の特別な一日〜 (NHK仙台放送局) |
私たちローカル放送の現場は、東京と比べて決して色んなものが潤沢にあるという状況ではありませんが、不景気あり、災害があり、様々なことが身近なところで起きて、それと向かっている地域の人たちの一番近くで、喜びとか悲しみとかに向き合って番組を作るという仕事に心から誇りを感じていました。この番組も、元々はたった10分間の番組で、気仙沼の銭湯、漁船なんかを訪ねるような旅番組だったんですけど、たまたまそのロケ日が嵐になりまして、ディレクターが、濡れ鼠で帰ってきて、「嵐の日、気仙沼が大変なことになってるんですけど」、と。そこから、今度、嵐が来たら、ディレクター5人以上で一気にロケして、気仙沼を描こうと決めたんです。しかし、繁忙続きで、実際に台風が来た日に5人のディレクターを投入できたのは、3年後の事でした。たまたまフリーになったディレクターがたくさんいて、運良くこの番組を作ることができました。この賞は、地域放送の現場で、日本中で努力している仲間たちに勇気を与えるエールだと思っております。
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NHK仙台放送局 矢吹 寿秀
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【優秀賞】唐招提寺平成の大改修 〜4000日の全記録〜 (BS−TBS)
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この番組は、奈良の世界遺産の唐招提寺の金堂を平成の大改修の12年間、4000日にわたって追跡してきました。入ってみると、すごく面白いんですね。というのは、古建築の修理というのは、1200年の老木に、ぴちぴちの若い木をめあわせるという、そういうくり返しです。そこには宮大工のお見合いババアみたいな、そういう手腕が発揮されて、わくわくるすような10年という時間でした。取材を始めた時に30代だった私は40代になりました。スタッフの中には、専務に昇進した者もおります。定年退職を迎えた者もいます。それぞれに重い10年だったのですけれども、このような賞がいただけて、本当に嬉しく思っています。
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TBSビジョン 匂坂 緑里
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【番組賞】 |
BS特集 民衆が語る中国・建国60年
第1章 新中国誕生 第2章 社会主義の格闘
(テムジン、NHKエンタープライズ、NHK) |
この番組は、昨年、中国が建国60年を迎えたことに因み、当時の建国前後の歴史に関わった人々、そしてその家族の方々の証言で、その歴史の実情に迫るドキュメンタリーです。取材にあたりましては、当局の監視などに注意を払いながら、日本人では取材できないところは、中国人のディレクターと手分けして、様々な手を尽くしました。しかし、この番組が実現できたのは、何よりもそういった状況のなかで、取材を受けてくださった中国人の方々がいたからです。彼らにも、自分の体験を、中国の本当の歴史を伝えたい、忘れてほしくない、という切実な思いがあったからでしょう。そんな彼らに改めて感謝を申し上げたいと思います。 |
テムジン 鐘川 崇仁
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【番組賞】 |
NHKスペシャル 証言ドキュメント 永田町・権力の興亡
第1回 1993-1995“政権交代”誕生と崩壊の舞台裏 (NHK)
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この番組は、去年の11月1日から3日にかけて3本シリーズで放送しました。ちょうど衆議院選挙が終わり、政権交代の余韻が残っていて、かつ実際にまだ政治が本格的に動き始めていない、一種のエアポケットみたいな時を狙って、ある種ゲリラ的に放送した番組です。そのために、実際のインタビューは、選挙の前後1か月くらいに集中的に行いまして、政治家にとって一番忙しいときでした。こういう賞をいただけたのは、そういうタイミングだったからこそ、語り残しておきたい、そういう政治家の想いのようなものが、その言葉を超えて、なにか伝わったからなのかなと思っています。 |
NHK 池本 端
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【番組賞】 |
NHKスペシャル 日本海軍 400時間の証言
第二回 特攻“やましき沈黙” (NHK)
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今回の企画は、日々のニュースに追われる報道の現場の中で生まれました。遡って2001年、自衛隊の取材をしていた私たちのところに、さまざまな情報がよせられるようになり、その取材の過程で知り合った研究家の方から、海軍の反省会という、これまで知られていなかった海軍の実態のテープの存在が明かされたことが全ての発端です。そのテープを手にした時に、私たちが何を伝えるのか非常に悩み、戦争を起こした人たちの憤りだけでは留まらないということに気づきまして、歴史の番組だけで終らせちゃいけない、今の報道の番組にしたいという思いで苦闘してまいりました。その結果、組織と人間というテーマに行き着きました。それに対して、文化という形で賞をいただけたこと、すごくありがたく思っております。 |
NHK 右田 千代
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