江藤教授の専門は水工学です。教授らの研究グループは、水の流れを細かく見るために、1991年に256×256画素で4500枚/秒、64×64画素なら、40500枚/秒で撮影できるビデオカメラを開発、さらに、10年後の2001年に、312×260画素で100万枚/秒で撮影できるビデオカメラの実証機を開発しました。
そして、現在、デジタル・ハイビジョン放送で使える100万枚/秒の撮影速度をもつ超高速超高解像ビデオカメラシステムの開発、実用化を目標に研究を続けており、放送文化基金はこれに対して助成しました。
このような超高速撮影を可能にしたのは、教授らが開発したISIS=画素周辺記録型撮像素子(In-situ Storage
Image Sensor)です。これは、一つ一つの画素の中に多数の画像信号メモリーを作り込んであり、撮影中は画像情報を素子の外に読み出さずにこのメモリーに連続的に記録し、撮影終了後にまとめてゆっくり外部に読み出します。これにより、高い画質を保ったまま、従来にない高速撮影ができるようになりました。この撮像素子には、小さな画素の中に多数のメモリーを作り込むために、教授が考案した世界で最も単純で面積の小さいメモリー構造(斜光直線CCD型メモリー)が採用されています。現在は放送番組用のHDTVに対応するため、全く新しい撮像素子構造をもつ、棚田型撮像素子(Terraced
Image Sensor)の実装技術や、画像トリガーなどの関連技術もあわせて開発中です。
HDTV対応への実用化研究の成果としては、NHK放送技術研究所の協力を得て、原理実証用センサーである撮像素子ISIS-V2を用いた3板式の8万画素100万枚/秒のビデオカメラを、試験的に野球放送などの現場で使用しています。 |