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時代考証学会 広報担当 佐藤宏之(鹿児島大学 准教授)

 2009年、わたくしたちは時代劇などの「歴史作品」と、歴史学などの「諸学問」が、「時代考証」という窓口を通してかかわる場を作りたい、その基礎となる「時代考証学」という新しい学問ジャンルと確立したい、という願いのもと「時代考証学会」(http://jidaikousyou.seesaa.net/)を立ち上げました。
 この間、シンポジウムを4回、フォーラムを 2回、そしてサロンを開催しています。シンポジウムは、よりマクロな視角・方法から、歴史作品、時代考証、市民社会の関係を考察し、総合学としての「時代考証学」の確立を目指すものであり、フォーラムは、よりミクロな視角・方法から、特定の地域を対象に、地域にそくした課題を設定し、上記三者の関係を具体的に考察することを通して、「時代考証学」にアプローチしようとするものです。そして、本年度からより小さな規模で、さまざまな学問や実践、現場などの意見や情報を交換する場としてサロンの開催を企画しました。
 これらの成果は、『時代考証学 ことはじめ』(東京堂出版、2010年)、『大河ドラマをつくるということ 時代考証学の提唱』(名著出版、2012年)、『大河ドラマと地域文化 「篤姫」「龍馬伝」と鹿児島』(高城書房、2012年)、『地域と語る大河ドラマ・時代劇 歴史都市彦根からの発信』(サンライズ出版、2012年)としてまとめられています。
 本年11月23日には、第4回シンポジウム「時代劇制作現場と学問のあいだ―考証・指導・監修―」を開催し、102名の参加者を得て盛会のうちの終えることができました。報告者に工藤航平氏(時代考証学会)、一柳邦久氏(NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー)、二代目猿若清方氏(日本舞踊猿若流)、高橋英樹氏(俳優)を迎え、それぞれの“専門的な立場”から時代考証・時代劇制作について論じていただきました。
 これらの活動を通して、時代考証学会の活動とその意義、「時代考証学」確立の必要性が広く認知されつつあるように思えます。
 わたくしたちが提唱してきた「時代考証学」は、学問横断的・学際的なものであると同時に、現地研究(フィールド科学)に根ざして、歴史・政治・経済・産業・社会・文化・民俗などを統合的・俯瞰的に再編成する“地域学”・“市民学”としても位置づけられるものでなくてはならないと考えております。
 市民のみなさんとともに、「時代考証学」という学問を確立すべくささやかな、しかし重要な一歩を今後も歩んでいきたいと思っています。
・人文社会・文化 助成

平成22年度 時代考証学の構築にむけて−NHK大河ドラマと市民の歴史意識の関係構造− 時代考証学会
平成23年度 時代考証学の構築にむけて2−地域文化における大河ドラマの受容とその特質の解明−
代表(東京学芸大学教授) 大石 学


2012年12月掲載