HBFの助成により、今年度ABUは「質の高い魅力あるドラマの制作」というテーマでワークショップを開催した。
アジア各国において、テレビのドラマ番組はもっともよく見られるジャンルのひとつである。その制作力を高め、さらに魅力あるドラマを制作するにはどうすればよいか・・・こうした観点から今回のワークショップは、ドラマ作りでは一日の長があるNHKが講師となり、ABU加盟の放送機関からドラマ作りに関わるプロデューサーを招いて実施された。場所はNHK、期間は6月25日から29日までの5日間。参加プロデューサーは順不同で、BBS(ブータン)、EBS(韓国)、RTB(ブルネイ)、RTM(マレーシア)、MBS(モーリシャス)、IRIB(イラン)、DDI(インド)、SLRC(スリランカ)の8つの放送機関から。
第1日目はドラマ作りの基本について、NHKドラマ部のOB松岡孝治(まつおかこうじ)さんが講師となり台本作成、撮影プラン作り、音作りなどについて講義をした。ここで参加者に4分番組の台本が渡され、彼ら自身が実際に番組を作るという課題が与えられた。2日目と3日目がNHK内のスタジオで撮影、4日目が映像編集、5日目が効果音入れ、そして完成というスケジュールである。最終日には、松岡講師自身が作成した「お手本」も含め、参加各プロデューサーが完成させた番組の試写会が行われた。
同じ台本であっても制作者により、編集や音楽のつけ方に違いがある。どれが一番効果的かはプロデューサーの感性や好みが反映されていて興味深い。試写会では、あえて意見交換はせずに、それぞれが思うところを感じてもらうにとどめた。
あっという間の5日間のワークショップではあったが、参加者からは非常に好評だった。2年に1度くらいはこうした場を提供してほしいといった意見や、NHKのドラマ制作プロセスをぜひ自国の放送局のそれにも導入するという反応など、積極的な感想がほとんどだった。ドラマ制作は非常に手間隙がかかるものである。それだけに綿密な準備・対応がいかに大切か、参加者には非常に有意義なワークショップだったことは間違いない。