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アジアの輪で子どもドラマ制作
NHK ドラマ番組  エグゼクティブ・プロデューサー 金澤 宏次

放送文化基金の御支援を受け、2004年よりABU(アジア太平洋放送連合)が“子ども向けテレビドラマ”の国際共同制作をアジアの放送機関に呼びかけ、このプロジェクトがスタートしました。
2004年は6つの放送機関が、また2年目の2005年は9つの放送機関が参加し、各国15分の番組制作に向けて、企画段階からなかなか熱のこもった活動を展開しています。アジアのドラマは新鮮です。子どもたちがピュアで、可愛らしいの一語に尽き、視聴者の皆さまにはアジアの国の人々の思わぬ暮らしぶりを知って頂く一助にもなるかと思います。

2005年4月25日 東京
NHK放送センター内 企画会議
メンバー全員 一堂に会して

番組は各15分(単発)、それぞれの制作者が自国の子どもたちの生き生きとした日常を通して、友情や家族愛を描いていきます。セリフは多用せず、子どもたちの心理、みずみずしい情感を大切にしています。いわば、言葉の壁を越えて、世界の子どもたちに感動を共有してもらえるよう努めています。

今回の9つの作品はNHK教育テレビで、2006年4月(春休み期間)に放送が予定されています。
9つの放送機関とは、BBS(ブータン)、RTPRC/CCTV(中国)、RTHK(香港)、DDI(インド)、IRIB(イラン)、NHK、EBS(韓国)、RTM(マレーシア)、MRTV(モンゴル)の以上です。
各15分、9本のドラマ番組が間もなく出来上がります。
各放送機関は自ら1番組(15分)を制作するわけですが、それを他の放送機関に提供すると共に、見返りに他の8番組の無償提供が受けられます。

2005年は私、NHKの金澤宏次と坂上浩子がプロジェクトの編集長を担当しました。
共通テーマは“心の成長”です。教育面を強調するより、素直に子どもたちにドラマを楽しんでもらえるよう心がけました。主なターゲットは7歳から9歳の小学生低学年。ただし、家族が揃って楽しんでもらえるように物語を作り、演出しています。

2005年のプロジェクトは第1回目の企画会議を、4月に東京のNHKで持ちました。“心の成長”をテーマに、家族の絆、友情の絆をモチーフとして、各プロデューサーが『ストーリー・アウトライン』を持ち寄り、提案していきました。
続いて、7月にはマレーシアのクアラルンプールで、梗概(あらすじ)、または脚本の第1稿をそれぞれ持ち寄り、議論を深めていきました。

各プロデューサーは自らの企画を説明するだけではなく、提出されたすべての企画内容に関し、時間をかけて議論し合います。
自国の企画は勿論、他国の番組も、結果、自国で放送することになります。
参加者全員が全企画に対して、より良きドラマにすべく、責任を持って、真剣に議論し合います。和気あいあいの中にも、プロの番組制作者としての厳しい意見が飛び交います。
IRIB(イラン)のMr Javad Hatami(ジャバド ハタミ)氏と、BBS(ブータン)のMs Kesang Dorjee(ケサン ドルジー)さんにとって、ドラマ制作は初めての体験。ハタミ氏の企画は、さすが映画の国イランのプロデューサーだけあり、幼い娘と単身赴任の父親の愛情を描き、梗概を読むだけでも胸にジーンときます。ブータンのケサンさんは、自分にとっても勿論、自国にとっても初めてのテレビドラマ制作。大きな期待を一身に背負っています。
DDI(インド)のMr Rao(ラオ)氏は音楽番組の専門家。インドではその分野で高名なプロデューサー。CCTV(中国)のMs Li Lei(リ・レイ)さん、RTHK(香港)のMs Elki Poon(エルキ・プーン)さん、EBS(韓国)のMr Chang-yong(シャンヨン)氏、NHKの岡本幸江さんの諸氏はドラマ番組、ドキュメンタリー番組の第一線で大活躍されているプロデューサーたちで、大いに期待が寄せられています。
また、RTM(マレーシア)のMr Kamarudin Ambak(カマルディン・アンバック)氏も多くの番組を抱え、多忙ながらも温厚で、実直なプロデューサー。

手前から
RTHK(香港) 発言者
CCTV(中国 北京)

BBS(ブータン)
Ms Elki Poon Yuen-yee
Ms Li Lei
Ms Zhang Xiaojian
Ms Kesang Chuki Dorjee
MRTV(モンゴル)のMs Ariunjargal(アリューンジャウガル)さんは昨年の日本賞でも、自らの作・演出の「ともだち」により子ども番組部門で最優秀番組賞を受賞。他国のプロデューサーが真似のできない、みずみずしい感性の持ち主です。

各プロデューサーは企画会議、脚本打合せで、互いの内容の中に、自国で放送する上で不都合な部分が含まれていれば、修正を持ちかけます。
こうしたことは国際共同制作として、大変大切な点です。
一堂に会し、全員ですべての企画内容を論じ合い、とても素晴らしいプロジェクトの輪(和)ができたと思います。

アジア太平洋の国々は、それぞれ固有で個性豊かな家族文化を育んできました。
このABU子どもドラマ・シリーズでも、主人公たちの豊かな心の成長を通して、それぞれの国のかけがえのない生活文化が描かれ、あぶりだされていると思います。
アジア・太平洋の国々の大勢の子どもたちは、この子どもドラマ・シリーズを見て、多くのことを感じ取ってくれることと思います。世界中の子どもたちが自分たちと同じように笑ったり、泣いたりしながら、家族や友だちと力を合わせて生きているのだということを、知ってくれることと思います。
また、この子どもドラマ・シリーズが大人になっても、子どもの頃のとても良い思い出として生き続けてくれればと、私は期待しています。
<平成18(2006)年1月>

・ 平成15年度 200万円 助成/人文社会・文化
  <ABU子ども向けテレビ番組の番組交換会と共同制作のためのセミナーの実施>
・ 平成16年度 200万円 助成/人文社会・文化
  <ABU加盟国プロデューサーによる「子ども向けテレビドラマシリーズ」
   の共同制作プロジェクト>
 (代表者 アジア太平洋放送連合(ABU)番組局長 佐橘 晴男)