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<委託研究A>
 「メディアは東日本大震災をどう伝えたか〜臨時災害放送局の調査から〜」 |
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東日本大震災メディア研究会
代表 丹羽美之 |
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、地震・津波・原発事故によって、各地に甚大な被害をもたらし、その影響はいまもなお続いている。これまで「東日本大震災とメディア」研究会(丹羽美之・市村元・小林直毅・林香里・藤田真文)では、放送文化基金の委託を受けて、この未曾有の大震災に放送メディアがどのように向き合い、何をどう伝えたかを検証するプロジェクトを進めてきた。
これまで経験したことのない大震災にテレビやラジオはどう対応したのか。各地で開設された臨時災害放送局は地域でどんな役割を果たしたのか。原発事故の伝え方に問題はなかったか。外国メディアは震災をどう伝えたか。復旧や復興の過程でメディアに求められる役割とは。このプロジェクトでは、放送局や制作者への聞き取り調査、実際に放送された報道・番組内容の分析を通して、メディアやジャーナリズムが果たした意義や役割、課題や問題点を明らかにすると同時に、将来の災害報道のあり方について提言することを目指している。
今回の研究報告会では、丹羽がこのプロジェクト全体の概要を紹介した後、市村が「東日本大震災後に生まれた『臨時災害放送局』の現状と課題」と題して、調査の中間報告を行った。東日本大震災では被災地で次々に臨時災害放送局が立ち上がった。その数は全28局にものぼる。電気・ガス・水道・情報などの各種ライフラインが長期間にわたって途絶え、多くの人々が避難生活を余儀なくされるなか、臨時災害放送局はきめ細かい被災状況や安否情報、生活情報や応援メッセージなどを流して、大きな注目を集めた。
今回の報告会では、臨時災害放送局や自治体への聞き取り調査の結果をもとに、臨時災害放送局の歴史や類型、28局設立の背景、運営上抱えている問題点などについて詳細な報告を行った。臨時災害放送に関しては、東日本大震災を機に認識が大きく広がった一方、今後に向けたいくつかの課題も明らかになったように思う。公的支援の仕組み(災害放送基金など)をいかに構築していくか。放送のノウハウをどう支援していくか。自治体担当者の理解と意識改革をいかに進めていくか。これらは早急に検討すべき課題だろう。
地震大国と言われる日本で、今後とも臨時災害放送が地域社会で果たすべき役割は大きい。臨時災害放送のよりいっそうの充実に向けて、このプロジェクトでも引き続き調査・研究を行っていく予定である。末筆になるが、こうした報告の機会を与えて頂いたことを深く感謝している。 |
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