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「地上デジタル・データ放送の実態とメディア機能の可能性」 |
データ放送の過去・現在・未来 |
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小林 宏一 早稲田大学大学院政治学研究科教授 |
メディア発達史の文脈において、地上デジタル・データ放送の源流は1980年代に導入された文字多重放送(一般名Teletext)に求められようが、メインの放送サービスに付加して送り込まれたデータを疑似双方向形態で享受するというサービス形態は、当初より今日まで基本的には変わるところがない。しかし、このようなデータ放送を取り巻くメディア環境は、この間、劇的に変化し、今日、生活者の多くがテレビ受像器に加え、パソコンおよび携帯電話上の三つの「窓」と日常的に付き合うに至っている。
ここで注目したいのが、上記三つの「窓」に共通する表示様式である。すなわち、テレビ受像器の「窓」にはメインのテレビ放送をL字型に取り囲むデータ放送スペースが、パソコンには−Windows Vistaに実装されたSidebarに象徴される−ガジェット・スペースが、さらに携帯電話にはワンセグ・データ放送スペースが存在し、しかもそれらのスペースを埋める情報は、日々、競合と重複の相を濃くしているかに見える。
こうしたなかで、当事者が当面留意すべきことは、生活者が、三つのスペースのいずれをメイン・スペースとして選別していくのか、あるいは適宜使い分けていくのかということである。このような選別過程において地上デジタル・データ放送の他の二つの「窓」にない強みは何かといえば、それは「ボタンひとつで、誰もがベスト・ミニマム情報にアクセス出来るツール」だということである。ここで「ベスト・ミニマム情報」というのは「量的には多くはないが日常生活に必須の情報」ということである。であるとすれば、データ放送開発当事者の当面の課題は、1)「ベスト・ミニマム情報」の一層の彫琢に努めること、2)そうした情報のマルチ・アウトレット化を図る(たとえばPCのガジェット・スペースにも提供する)こと、3)データ放送の知名度向上に努めること、の三点ということになるだろう。 |
小林 宏一(こばやし こういち)
早稲田大学大学院政治学研究科教授 |
1942年生まれ。早稲田大学文学部(社会学専攻)を経て75年早稲田大学大学院文
学研究科博士課程社会学専攻満期退学。その後、(財)電気通信総合研究所、成
城大学、東京大学社会情報研究所(現情報学環・学府)、東洋大学社会学部を経
て、早稲田大学大学院政治学研究科教授。研究領域は情報社会論、情報メディア
論、メディア文化論。 |
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