公益財団法人 放送文化基金 トップページ 地図 リンク お問い合わせ
English Site
放送文化基金概要 助成 表彰 制作者フォーラム 放送文化基金報
トップページ助成研究報告会>21年度 研究報告会 
リニューアルサイトへ
助成メニュー
申込方法
助成対象一覧
研究報告会
  ◇バックナンバー一覧

助成Webシステム
(別ウィンドウで開きます)
助成の申請、各種書類の提出はこちらから。

助成データベース
昭和49年(1974年)度から現在まで当基金が実施した助成の対象全てを検索できます。

検索はこちら
助成

研究報告会

子どものTV映像認知に関する認知神経科学的研究
開 一夫
 私たちは、小さな子どもがテレビ映像をどのように認知しているのかを明らかにするため、乳幼児から小学生・成人に至るまで幅広い年齢層を対象として実証的研究を行っています。放送文化基金からは、この研究に対して、平成17年度と19年度の2度にわたって助成をしていただきました。
 成果報告会で発表させていただいた内容は、脳波計(EEG)を用いた認知神経科学的研究に関するものでした。私たちは脳波の中でも特に情報の統合に関連していると言われているガンマ帯に着目して、『不思議』な事象をテレビ映像として見た場合と、現実場面(ライブ)で見た場合の違いが脳活動に現れるかどうかを検討しました。不思議な事象とは、ちょっとした手品のことです。近年のテレビ画質は格段に美しくなり、テレビ映像で映し出される光景は一見すると実物と見間違えるほどです。しかし、2次元と3次元の違いなど多くの点で私たちが現実世界と接するのとは異なっています。小さな子どもが感じる『不思議さ』はテレビと現実で異なるのでしょうか?
 実験の結果、乳児・小学生・成人どの年齢層においても、不思議な出来事を見た場合の方がそうでない(当たり前の)出来事を見たよりも脳波のガンマ帯の強さが大きく現れました。しかし、乳児と小学生・成人では結果が少し異なりました。小学生と成人では、現実場面で『不思議な出来事』を観察した場合の方がガンマ帯の活動が強くなりましたが、乳児の場合は、テレビの方が強くなりました。この違いが、テレビというものに「慣れて」しまった結果なのか、あるいは、別の要因によるものなのかを明らかにするには研究をさらに深めていく必要がありそうです。

◆報告者 プロフィール
開 一夫(ひらき かずお)
東京大学大学院情報学環准教授
東京大学大学院情報学環および総合文化研究科准教授。専門は発達認知神経科学、機械学習。慶應義塾大学大学院博士課程修了。博士(工学)。コミュニケーション能力の発達を認知神経科学的に研究している。著書に「日曜ピアジェ 赤ちゃん学のすすめ」(岩波書店)、編書に「ソーシャルブレインズ−自己と他者を認知する脳」(東大出版)など。