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<報告A 人文社会・文化部門(平成22年度助成)>
 「企業ジャーナリストのライフコース」 |
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GCN(Gender and Communication Network)
共同代表・東海大学准教授 谷岡 理香 |
□問題意識
2009年GCNは、国際女性メディア財団(ワシントンD.C.)主催の「メディアにおける女性の地位国際調査」(世界約60か国参加)に日本担当として調査にあたった。どのメディア企業においても人事責任者は、男女の待遇は平等であると答えている。それにも関わらず日本のマスメディア組織では女性の割合は2割止まりであり、女性の参画率は世界最下位クラスである。複雑多様化した現代社会において、報道の人材にも多様性が求められているのではないか。
□調査内容
キー・ローカル局を合わせ13放送局の50代を中心とした管理職(男性11名、女性10名)、比較対象として30代9名(男性5名、女性4名)に、生育環境、就職活動、ジャーナリスト教育、企業内キャリアパス、生活圏等について各2時間のインタビューを行った。
□調査から得られた主な知見
日本の企業ジャーナリスト達は、警察担当の記者クラブを振り出しに、OJT(On the Job
Training)による地道な取材活動を経て一人前の記者になることが「記者の王道」と認識している。男性管理職は、「24時間体制」で働いており、生活圏の体験が少なく職場以外の視点を持ちにくいが、その事に対する問題意識は感じられない。男女管理職共に、地域での活動やNPO等に関わる余裕はない。男性管理職の多くが、育児休暇をとる女性が増えると人材管理が大変である為に、現状の体制では女性記者が増えることを望んでいない。30代女性は全員、諸制度を利用して仕事と育児を両立している。30代男性は、50代に比べると育児参加等の意識と行動変化があるものの、仕事中心のライフスタイルを変えられるかというジレンマを抱えている。
□展望
報告会では、放送局の人事担当者や新聞社のOBもおり、従来の画一的な働き方だけでは、人材の多様性の確保も社会の多様性にも対応しきれないという声を頂いた。今後もあらゆる場面で報告・提言を行い、多様な放送文化の担い手を支援していきたいと考えている。なお、調査結果を更に詳細に分析し、日本のテレビ報道を牽引している人々 の意識、キャリア形成、日本のジャーナリズムの今後への展望、ローカル局の特色、男女差、世代差などを加え『テレビ報道記者たちのライフコース(仮題)』(大月書店)を、今秋、出版する予定である。
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平成22年度 助成
「日本の放送分野での報道を牽引している人々のライフコース調査:人材の多様性と職能の関連」 |
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